shot
 
NEWS
欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント
1回戦第2戦 Rマドリッドvsユベントス
ユーべ、レアルを下す!存在感の薄くなったデルピエロ

06年冬季五輪を迎えるトリノ市は、町中到る所が砂煙を上げて突貫工事をしている。地下、道路など、町全体が掘り返され、喉が痛くなるほど埃っぽい!

前夜リヨン対ブレーメン戦に続くチャンピオンズリーグ戦の取材が続いた。TGVでトリノにやってきた。あの冬空がアルプスを越えると、春のように温かい気温、嘘のように紺碧の空が拡がる。

ユベントス対レアルマドリッド戦の好カードの取材だ。今季初の満杯だ。最近、ユベントスでも、試合数が多くTV放映が豊富なので、デレ・アルピスタジアムが埋まらない。

レアルの弱点「ザル」DFラインに抵抗力がついた。シーズン途中交代した、今季3人目の監督リュクシェンブルゴに変わって、チーム全体が以前より機能し始めた。

試合開始から1点のビハインドを追うユーベは、3トップ攻撃布陣、サラジェタ、デルピエロ、イブラヒモビッチらが次々とレアルのゴールを襲う。攻勢のユーベと守勢に立ったレアルの状況が続く。

ユーベのゴールチャンスは、時間の問題かと思われたが、ツキに見放されてゴールを割れない。1点差の攻防が続き、膠着状態から脱出できないまま前半終了した。

右サイドのカモラネージは泥臭い印象とは別に、プレーは光る。「ちょん髷」頭で攻守に幅のある動き、ボールキープ力が抜群、チャンスと見るやゴールを強襲、カバーに戻るのも早く縦横な活躍を見せる。

ひときわ巨人のスウェーデン代表のイブラヒモビッチは、ボールコントロールが抜群のテクニッシャン。父親がボスニア、母親はクロアチア人。両親は70年代にスウェーデンの南、マルモ市に移民。「チョー悪童」が、マルモFCからアヤックスを経て、今や代表、ユベントスのスターに成長した。

悪い癖は、足技が卓越している選手にありがちな、ボール遊びが長すぎてパスを好まないこと。個人プレー、自滅が多過ぎるのが玉に傷。

今季、カペロの就任で梃入れが始まった。ユーベは放映権を5年分前借りをしているほど経済的な危機に立たされている。

カペロが驚いたことは、とても使えそうにもない在籍選手の数だ!!フェラーラ、モンテーロ、ドド、タキナルディ、ジュリアーノ、アピア、カポらが遊んでいるのだ。

この原因はモッジ会長の息子アレッサンドラの経営する、選手、コーチのエージェントGEA社の存在が大きく影響している。リッピ前監督の息子も選手のエージェントだ。

会長が息子達の抱えている選手を買い込む。使えない選手まで金のために契約。売るにも売れない選手を溜め込んでしまった。

また、日本で名将とか言われるリッピ前監督時代、無敵のユベントス選手が薬づけで強かったと暴露されイメージダウンした。クラブ専属医者が、薬局以上の薬量を発見されている。この件に関しての裁判はいまだ続いている。

また、現在でも代表監督で、親善試合は、リッピの息子、GEA社契約選手を使うことを優先するケースが多いとか。いずれにしても「マフィア」的なビジネス工作が横行している。

カペロ構想では、今春結婚を予定しているデルピエロも一時は外したが、長年のユーベのスターだけにファンのバックアップは根強く存在が強烈で元に戻している。

彼の移籍先は高額な移籍金がネックで簡単には探せまいが、ユーベの期限が切れれば、多分、日本でプレーを希望していると噂されている。

75分、カペロの采配、デルピエロに代えてトレゼゲを投入。硬直状態からの脱皮が見事に的中した。カモラネージがゴール前にクロスを上げた。イブラヒモビッチが後方にヘッドで落としたボールを、半身のオーバーヘッド気味で打った。

この瞬間、勝敗の流れが決定した。

一進一退を続けたが、レアルはジダン、ラウル、ベッカムがベンチに下がった。ユ−ベが次第に有利に展開してきた。延長戦26分、レアルのDFラウル・ブラボーは、ユベントスのゴール前に落ちたロングボールを完全にクリアーできない。こぼれたボールを走り込んできたサラジェタが低い弾道シュートで左隅に決めた。

ユーベはこれで金銭的にホッと一息ついたが、レアルは早期敗退で責任問題、ベッカム、ロベカル、フィーゴ、ロナウドらは元より、生え抜き選手のラウルを含む移籍問題でゴタゴタが絶えることなくシーズン終了まで続くだろう。

決勝トーナメント1回戦第2戦 (2005.3.9)
  Rマドリッド 0-2 ユベントス

(望月次朗)

Copyright (C) 2005 Agence SHOT All Rights Reserved. CONTACT