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野口みずき
好調な野口みずき、日本記録への挑戦“普通に走れば日本新記録は出ます!”

9月25日、アテネ五輪優勝から13ヵ月後、野口みずき(27歳、グローバリー)はベルリンマラソンで新たな目標“記録”へ挑戦する。パリ世界選手権、アテネ五輪前、いずれもスイスアルプス山中のサンモリッツ1850m高地合宿で調整、成功してきた。順調な練習成果に基づき、気負いもなく、淡々と「過去3回のここでの合宿成果は最高の仕上がり。気候に恵まれ普通に走れれば日本新記録は出ます」と断言した。

野口談

「練習再開は2月ごろ。身体が走りたくてむずむずして来ました(笑う)レースの刺激が欲しかったですね。五輪金メダルの上はないと思いますが、目標達成はアテネの時点で十分達成できたと思います。金メダル獲得者というプレッシャーばかり先行、意識し過ぎて、失敗を恐れて何もできないのでは前に進めない。どこかで新しい目的に向かって、ゼロからとは言わなくても動かないことには、わたしの競技者のキャリアが停止してしまいます。再スタートがどのような形で行われるかが大切です。十分な準備、練習をして、レース結果を見てから次に繋がる経験をしなければ、経験だけで終わってなんにもなりません」

「アテネ五輪前に消化した練習がかなりキツク、優勝して自信を持ちました。日本記録への挑戦は、もう一度あの練習を消化できて・・・、いつかは記録にチャレンジしようと思っていました。涼しい時期のレースに出たら、どんな結果が出るかと楽しみにしています。」

「調子はまあまあですね(笑う)ここで合宿するのが3年連続ですが、今回が一番良いタイムを記録しています。30kmで2分ぐらい短縮、40kmも昨年よりちょっと距離が伸びているのですがいい感じでタイムが短縮ができています。ですから、アテネ五輪の状況を考え、あの調子で走るなら一体どの程度のタイムで走れるだろうか?と思っています。」

「現在の調子から、もし、気象条件が普通で、男子ペースメーカーと一緒に走ることは初めての経験ですが、今まで廣瀬さんと一緒に練習で走ったことはありますので、そんなに戸惑いはないでしょうから、日本新記録は出ると思います。(17分台は?の問に)取材する人に予想記録を言ってしまうと、望みが叶わないのでいえません(笑って答えない)」

「ただ、これまでのレース経験は総て代表選考会で優勝が最有力でした。記録への挑戦経験はありません。今度は記録への挑戦。機会の少ないこのようなチャンスにしっかり走りたいと思います。ドキドキしますね。自分との闘いのような気がします。どこまで弱気な自分を出さずに完走するのがポイントでしょう。多分、今までのレース経験よりきついものになるような気がします。」

「ここで世界選手権大会のマラソンをTV観戦しました。ラドクリフさんは大したものですね。彼女とは世界ハーフで一緒に走り、いつも負けていました。同じ競技者として、尊敬する選手です。アテネの惨敗から見事に立ち上がり、NY、ロンドン、ヘルシンキで立て続けに勝ちましたね。(その原因は優勝者にある、とジョークを入れると・・)エーッ!!いやいや!(大笑い)・・・噂でしか聞いていませんが、国内でも辛辣に批判を受けたとか?それを撥ね退けての忍耐力、精神力に改めて驚きます。TVでしか見ていませんが、あのコースも難関のような気がします。やはり、さすが15分台の実力選手ですね。なんか、凄くイイものを見て感動的でした。また、どこかでいつかは対戦しなければ・・・」

廣瀬コーチ談

「五輪優勝は予想以上に影響が大きく、ここにきても声を掛けられます。取材申し込みが500件以上!その合間にやはり少し走っていましたから、2月ごろから本腰を入れて練習を再開したのですが、それほど体力は落ちていなかった。韓国で競技会の5000m出場で15分40秒ぐらい。札幌ハーフに出場しましたが、本当に久しぶりのロードレース。見ていて、レース前からガチガチに緊張。なんであんな走り方をしたのか?上体が力んでリズムが最悪でした。」

「ここに来る前、中国の昆民で5月13日から3週間合宿。サンモリッツ合宿は7月13日〜9月13日まで。練習は順調に消化しています。今回の練習とアテネ前と比較して、練習量、質とも殆ど変わりませんが、五輪優勝から来る自信と身体の成長でしょうか、30kmを1時間46秒29、40km走で2時間25分と、いずれ過去最高タイムです。力はかなりついてきていると思います。」

「今年の目標が日本記録に挑戦ですが、実際レースがどうなるかやってみないとわからない部分が多いですね。これまで野口は勝負に徹したレース経験だけ。今度初めて記録への挑戦レース。これは今までと違いますし、未知数です。ワクワクするものもあるでしょうが、一体どんなものだろう?とのミックスされているでしょう。どんな走り、結果によって次の計画が少しは見えてくると思います。数年後先はどうなるかわかりませんので、長い将来をみるよりは、1年1年しっかりと目標を立てて消化、その積み重ねの先に将来が見えて来ると思います。」

(月刊陸上競技誌、2005年10月号掲載)

(望月次朗)

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