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NYシティーマラソン
男子、テルガト、女子はプロコプツカが初勝利

11月6日のニューヨークシティー・マラソンは、約3万7000人が参加した。

男子は世界記録を持つポール・テルガト(ケニア、36歳)が、昨年の覇者ヘンドリク・ラマーラ(南アフリカ、31歳)をゴール直前、0秒32の僅差でかわして、2時間9分30秒で初優勝。

テルガトはシルバーコレクター「万年2位」の汚名を返上、久々の大きなレースで逆転勝利の美酒を味わった。
テルガトはケニア選手としては、異例な息の長い選手生活を続けている。

女子は、1月の大阪国際女子マラソンで勝ったエレナ・プロコプツカ(ラトビア、28歳)が、高温の炎天下で熾烈なサバイバル戦を征して、2時間24分41秒で初優勝した。

レース当日のNYは「インディアンサマー」と呼ばれる、この時期としては気温が20度を越えた。
レースはスタートからスローペース展開、男女共に記録への期待は早い段階で薄れた。

誰もが飛び出さず、2時間4分55秒の世界最高記録保持者のポール・テルガト、昨年の覇者南アのヘンドリック・ラマーラ、アテネ銀メダリスト、地元の期待の星、メブ・ケフレジギ、ケニアのロバート・チェルイヨトらの4選手が、鮮やかな黄色く色づいた秋のセントラルパークまで激戦に持ち込んだ。

40キロ付近から、優勝争いはテルガト、ラマーラの2人に絞られ、最後はあらかじめスプリント勝負に備えていたテルガトが、わずか0秒32(公式記録上は1秒)の差でフィニッシュ。
力尽きたラマーラは、最後ゴール2歩目で体を浴びせるようにしてゴールに飛び込んだが及ばず倒れこんだ。
テルガトには気温が上がったので序盤からスローペースが幸いした。

20キロ付近でようやくトップグループに加わってからも、慎重なレース運びに変わりはなかった。「信じられない暑さだった。厳しいレースだった」とテルガト。
先頭集団の後方に位置し、冷静にレース終盤に体力を温存し、終盤の勝負にかけた作戦が的中した。
対するラマーラは最初からトップグループを引っ張ったが、最後の最後で体力を使い果たした。
「(最後は)何も覚えていない。2位は悔しい」と、無念の表情だった。

テルガトは96年アトランタ、00年シドニー両五輪は1万メートルで銀メダル。デッドヒートの末に小差の敗北を喫した。「オリンピックのことを思い出した。最後の1秒まで戦った」。オリンピックの苦い経験が、晩年を迎えつつある36歳のテルガトを王者たらしめた。

日本勢は男子で、五十嵐範暁(中国電力)が2時間20分59秒で21位に入ったのが最高。

プロコプツカ大勝利−女子

女子はプロコプツカが逆転で制した。

今年1月の大阪国際女子を制して注目を集めたマラソン界の新星は、40キロ付近でチェプケメイ(ケニア)をとらえ、最後は14秒差をつけてゴール。
「途中でだめかと思った」そうだが、37キロ付近でチェプケメイがおう吐しているのを見て、「勝てると思った」という。

ラトビア勢としても初制覇。
「ラトビアのように小さな国にとって、勝利はとても大きなもの」と、ビッグレースでの優勝を喜んだ

(望月次朗)

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