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「ビッグ5」とは?
「World Marathon Majors」と、カバーに記されていた

書き方が間違ったのではない。オリジナルのパンフレットをそのままコピーしたものだ。

その下に、英文で今年から始まるレース順にボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、NYとある。この5箇所のマラソン主催者が結託して、簡単に言えば「ビッグ・ファイブ」とでも自称している、新設の賞金『イベント』だ。これらの5大会とIAAFを巻き込んで五輪、世界選手権大会を含む、男女マラソン上位入賞者に1〜5位まで25,15,10,5,1ポイントを与えて、今年のボストンから2年間の大会の獲得総合ポイントで100万ドルの賞金を争うものだ。男女優秀者に最終的に各50万ドルを与える。このアイディアが発生したのは、上記の仲の良い5大会のディレクターらが、勝手に『ランク』付けして商業的な付加価値を付けた。その参加条件としては、「TV放映、出場者数、記録、歴史、レースの質、観衆」など、1〜10項目の要素が一致した結果だと、ベルリン大会の報道担当のヨーグ・ヴェニングの説明だ。また、「参加レース数が多くなる可能性がある。」とも付け加えた。

だが、ほかのマラソン主催者から文句が聞こえそうだ。大きいだけで一向にサブ7分の記録が出ないNY、歴史を売り物で難所のコース記録は7分台のボストン、参加者はわずかに2万人だ。湯水のように金を使って、選手を独り占めにしてかき集めるロンドンは、今年も世界記録は不発。なぜ、かれらはパリを仲間に入れないか。「質」と言うなら記録が出るロッテルダム、アムステルダムは?しかし、参加を希望したらこの2大会は拒否されたと言う。

歴史的な背景を考慮に入れるなら、コシチ、マラソン発祥地のマラトンからスタートのアテネ・マラソン五輪コースらがある。

ロンドンは、英国中で唯一のフルマラソンレースだ。興味の金も一箇所に集結する。金があるので「ペーサーなしのレース」「女子だけのレース」、「混合レース」(男子ペーサー付き)など、女子レースは状況の都合で3種類の既成事実を作ってきた。ラドクリフに男子ペースメーカー付きで世界記録を樹立。今度は大金を叩いて男子世界新記録に躍起だが、今年も達成できなかった。ロッテルダムはロンドンの30%以下の資金で、サミー・コリルが2時間6分38秒、ロンドン優勝者のフェリックス・リモより1秒早い、今季世界最高記録を出した。建前はどうであろうが、「ビッグファイブ」は、新ボーナスシステムを設立して世界中のベスト選手を5大会で抱えて走らせるのが当面の目的であろう。これで世界のトップランナーは、益々日本のレースから遠のく。

(06年月刊陸上競技誌6月号掲載)

 
(望月次朗)

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