shot
 
NEWS

イシンバエワ、惜しくも世界新ならず、劉翔競り負ける

7月6日、ゴールデンリーグ第2戦パリ大会が、スタッド・ドゥ・フランスで開催された。観衆は昨年より減少した6.5万人。

全米選手権終了後、アメリカ世界選手権代表選手も多く出場したが、予算不足と故障者の続出。100mのアサファ・パウエルとタイソン・ガイ、400mのジェラミー・ウォリナーらの大物選手も不在だった。100万ドル「ジャックポット」賞金が掛る種目で、早くも2戦全勝は男子槍投げのテロ・ピトカマキ(フィンランド)ただ一人。女子400mはサンヤ・リチャーズ(アメリカ)、100mHのミッシェル・ペリー(アメリカ)、棒高跳びのイェレナ・イシンバエワ(ロシア)らの4人が連勝を伸ばしている。

男子100m、世界記録保持者のアサファ・パウエル(ジャマイカ)は、ジャマイカ選手権での故障のため大事をとって欠場。しかし、ここに来てアテネGPで9秒95を記録した、ジャマイカ生まれバハマ国籍。世界記録保持者のアサファ・パウエルの遠い親戚に当るデリック・アトキンスが向かい風をものとせず、マーク・ジェルク、ショーン・クラフォードらのアメリカ勢を抑えて10秒00で優勝。自力を見せ付けたレースだった。

男子1500m、メディ・バーラ(フランス)は、300mでスパートしたが、最後の50mでガス欠で失速。猛烈に追い上げてきた好調のアラン・ウェブ(アメリカ)がゴール手前で競り勝った。ウェブは今季世界最高記録、自己記録3分52秒52を大きく破る3分30秒54で優勝。「わがキャリア最高の瞬間だ!」と大喜びだった。

男子110mH、あたかも世界選手権決勝レースのメンバーだ。紙一重の接戦を制したのは、20歳のダイロン・ロブレス(キューバ)が、ムーア(アメリカ)、世界記録保持者の劉翔らを抑えて、13秒13で優勝。この種目、中国の劉翔を追って、ロブレス、世界選手権優勝者のドゥクレ、アメリカ選手の激戦種目だ。

男子400mH、ジェ−ムズ・カーター(アメリカ)の47秒72を筆頭に、47秒台が二人、ほか全員が48秒台のハイレベルな戦いだった。1コースの為末大は前半からスピードに乗れず。後半は完全に失速して最下位に終わった。優勝はカーターの48秒61。レース後、為末はこう語った。「後手後手に回った。日本選手権の疲れもあるが、地面を踏んでいる感じがせず、スピードが出なかった。新しい走法を試す余裕はなく、きょうは目の前のハードルを跳ぶので精いっぱいだった。」

男子槍投げ。今季世界3強選手、今季最長距離を飛ばしたブリュアー・グリアー(アメリカ,)五輪優勝者のアンドレアス・トーキルセン(ノルウェー)、テロ・ピトカマキ(フィンランド)の争い。オスローに続いて、ピトカマキが89.70mを投げて優勝。

女子400mH、サンヤ・リチャーズ(アメリカ)が今季世界最高となる49秒52で圧勝。全米選手権4位になった屈辱をはたす。「記録より勝つことが目的だった」と安堵していた。

女子100mH、ミッシェル・ペリー(アメリカ)が激戦を制して12秒56の好タイムで優勝。GL2連勝。

女子走り高跳び。これまでイェレナ・スレセレンコ(ロシア)に苦手意識が強くて勝てなかった、ブランカ・ブラスッチ(クロアチア)が2.02mを跳んで競り勝った。

女子棒高跳び、イェレナ・イシンバエワ(ロシア)が今季世界最高の4メートル91で勝ち、5.03mの世界新記録に挑戦したが惜しくも失敗。イシンバエワに笑顔が戻ってきた。近い将来、世界記録更新が見られるだろう。

 
(07年月刊陸上競技誌8月号掲載)
(望月次朗)

Copyright (C) 2005 Agence SHOT All Rights Reserved. CONTACT