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ロバート・チェルイヨット、3連勝、4回目の優勝、新鋭ディレ・ツネ、2秒差で初優勝

4月20日、アメリカ五輪選考女子マラソンが市内の周回コースで行われ、次の日、第112回ボストンマラソンが開催された。両日ともマラソン日和に恵まれた。アテネ五輪マラソン3位のディーナ・カスター(35歳)が、冷静なレース運びで2時間29分35秒の平凡なタイムで圧勝。五輪連続3回出場(シドニーは10000m出場)を決めた。恒例のボストンマラソンは、ロバート・チェルイヨット(ケニア、29歳)が、2位に1分18秒の大差をつけ2時間7分46秒の史上最多3連続タイ、最多優勝4回タイ記録。優勝金10万ドルとケニア五輪代表権もほぼ獲得した。女子は、30kmから飛び出したアレフチナ・ビクティミロワ(ロシア、25歳)、ディレ・ツネ(エチオピア、22歳)の2人が、お互いに一歩も譲らずゴール直前まで並走。2秒差でマラソン2回目のツネが2時間25分21秒で歓喜の初優勝を飾った。

チェルイヨット、五輪代表に向けて爆走

ゴール直後、チェルイヨットは右手を4回地面に叩きつけるような奇妙な手振りで上下に強く振った。「ヤッタ!と思ったからさ。レース前、ロンドンで優勝した友人のマーティン・レル、サミュエル・ワンジル、ロッテルダムで優勝したウィリアム・サンガらの結果、記録が頭にあった。なんとしても優勝と7分台を目標にして走った。これで念願の北京五輪代表権は獲得できるだろう思った。今回の優勝はこれまでのどの優勝よりも嬉しかった。ケニアはまだ五輪マラソンで男女ともに優勝していない。史上初の五輪タイトルをケニアに持って帰りたい。」と、早くも五輪モードだ。今年のエリートランナーは、パトリック・イブティ(ケニア、元10000mトラックランナー、昨秋のシカゴマラソンで2時間11分11秒で優勝。)が、マラリヤが発病して棄権。チェルイオット以外に大物選手が見当たらなかったのは寂しい。トップ集団は、最初の5kmは15分21秒で通過したが、チェルイヨットがプッシュ。10kmを30分5秒(この5km、14分50秒)、さらに15km地点を44分51秒(この5kmを14分44秒)とペースップした。9選手が一団となってハーフを62分44秒で通過。さらにチェルイヨットが「心臓破りの丘」の手前からペースアップ。この難所の25〜30kmの5kmを14分29秒、1kmを2分59秒のハイペースで独走態勢。2位のアブデラヒム・ブーラムダン(モロッコ、30歳)、ジェームス・クワンバイ(ケニア、25歳)、カシメ・アディロ(エチオピア、29歳)らが続くが、1位との差は次第に広がった。しかし、30kmを過ぎると急激な疲労を見せ、15分50秒、15分42秒とスピードダウンしたが、2位以下の後続も疲労で同じような状況だった。チェルイヨットは、「心臓破りの丘3km手前でスパートした。今年は別の作戦を変えたからだ。このコースを独走してサブ7の記録を狙うことは難しい。これで文句なしに五輪代表に選ばれる可能性は高い。もし,選考されたなら代表選手が一丸となって、五輪優勝に全力を尽くす。」と言って笑い飛ばした。

4月25日、ケニア陸連はロンドン優勝者のマーティン・レル、2位のサミュエル・ワンジル、ロバート・チェルイヨットらの史上最強3選手を北京五輪マラソン選手として公式発表した。尚、大阪世界選手権で優勝したリューク・キベット、ロッテルダム優勝者のウィリアム・キプサングらをリザーブ選手に決定した。

2秒の僅差でディレ・ツネ初優勝

ハーフ通過タイムは、74分45秒だったが、後半、70分40秒のハイペースだった。28km手前でビックティミロワがプッシュしてペースアップ。後続にツネがピタリと背後に付いた。最後の10kmは、この2人のランナーが熾烈な優勝争いを展開した。1kmを残して、なんども先頭が入れ替わったが、最終的に決着が付いたのはゴール手前のスプリント争い。わずか2秒差でツネが初優勝。このレースにエチオピアの若い次世代の3選手を送り込んできた。最も若い2時間24分40秒の記録保持者が優勝。ベテランのゲテ・ワミらに加えて、ほぼ五輪代表選考されるだろう。エチオピア五輪マラソン選手選考も、ケニア同様のシステムをとっている。5人以上の選手を五輪マラソンチーム編成をして合宿。大会直前になって、調子の良い選手3人を選考するだろう。新旧世代のミックス選手構成をする場合が多い。

 
(08年月刊陸上競技5月号掲載)
(望月次朗)

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