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世界のトップクラスに躍り出たワンジル

サミュエル・ワンジル(トヨタ九州、21歳)は、ロンドンが2回目のマラソン。ロンドンは、毎年世界トップ選手が一堂に会する。終盤、ワンジルはマーティン・レル、アブデラヒム・グムリらと雨中の激戦を展開、自己記録を大幅に破る2時間5分24秒で2位。フルマラソンでも世界トップクラスに急成長。ロンドンで話したことをまとめた。



−ロンドンマラソンのレースの印象は。
ワンジル−これだけ世界トップランナーが集まったレースだったので、ハイレベルの経験を持つことができた。自分の力をテストする貴重な体験だった。

−後半、3人が並走したが、勝負時はどこと思ったのか。
ワンジル−スプリント決着は避けたかった。昨年9月、ニューキャッスルでレルにスプリント争いで負けたような展開になっちゃった。最後のスプリントは、レルには敵わないよ。

−世界記録がグ〜ンと近づいてきた。
ワンジル−レルは世界記録を破る可能性をあると言っていたが、ぼくはまだ2度目のマラソン。それでも前よりは少しは近づいてきたが、まだまだでしょう。

−ロンドンに向けての調整はどこでしてきたのか。
ワンジル−ニャフルル。(注:ナイロビから約200km北西にある町。)

−いつからか。
ワンジル−全日本実業団駅伝が終わってから、1月9日、ケニアに帰った。

−だれがマラソン練習プログラムを作成したのか。
ワンジル−マラソンのプログラムは、ガブリエラ・ロザがファックスで送ってきた。コミュニケーションは、電話で頻繁に取っていた。

−森下監督は全くタッチしていないのか。
ワンジル−していません。

−森下とロザの指導かをどのように使い分けているのか。
ワンジル−ぼくは、森下監督の指導でトラック、駅伝練習で鍛えられて記録を伸ばしてきました。ロザからはマラソン練習を指導してもらっている。かれはケニアでマラソン選手を多く育てた経験と高地練習のプログラムの組み方は良く知っていると思う。いろんなことで経験が豊富です。

−トヨタはあなたをトラックと駅伝要因と考えているだろうと思う。外国のトラック競技会に出場する場合とロードレースは外国人マネージャーが仕切っている。マラソン調整は、外国人コーチに任せている複雑な状況だが・・・、日本人選手では到底許されないだろうと思うが、ここまでくれば十分に独立できるのでは。
ワンジル−そうですが(笑う)、今までのつながりがあるし・・・、トヨタが必要としてくれているし・・・。難しいね。(笑う)

−あなたの待遇もいいんでしょう。
ワンジル−うん。

−森下監督は、あなたを駅伝要因として欠かせない人材、あなたはトヨタの待遇をミスミス逃したくない状況ですか。
ワンジル−お互いにうまくやることが一番ですね。

−マラソン練習拠点はやはりニャフルルが最適ですか。
ワンジル−生まれ育ったところですからね。(笑う)

−トヨタと契約は。
ワンジル−1年ごとです。

−五輪マラソン調整は、ロザ指導で行う予定でしょう。
ワンジル−今のところはそうでね。

−五輪代表に選ばれた場合、ロザはイタリアのボルザで7月にレル、チェルイヨットらを集めて高地合宿をする予定とか。あなたも参加しますか。
ワンジル−これから良く考えます。

−今年は五輪の年、ケニアマラソン代表選手になったら、来年の実業団駅伝出場資格を持つためには、日本滞在180日規定をどのようにクリアーしますか。
ワンジル−それなんとかしなけりゃア。でも、大丈夫ですよ。

(4月25日、ケニア陸連は、ワンジルを同国五輪マラソン代表選手に選考したことを公表した。)

 
(08年月刊陸上競技6月号掲載)
(望月次朗)

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