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ディババ、五輪2冠の序曲か。ライバル、ディファーの世界記録を破る

ティルネシュ・ディババ(エチオピア、22歳)は、よほど世界新記録達成が嬉しかったのか、ゴール直後に両手を広げ天を仰いで神に感謝した。これまでなんども室内世界新記録を達成したことはあるが、不思議に屋外ではチャンスに恵まれなかった。昨年、メサレット・ディファー(25歳)が、ビースレットゲームズで新記録を達成した。この世界記録への挑戦の話は、アフリカ選手権の最中にアディスで聞いていた。ディババとディファーの熾烈なライバル争いは、五輪の年に大きく再燃してきたのだろう。ペーサーのアナ・アルミノワ(ロシア、23歳)が引っ張ったが、最初の1000mを2分48秒08,2000mを5分43秒64で予定よりやや遅れて通過した。後半、3歳年上の愛称“ジジ”が先頭に立って3000mを8分38秒83で通過、世界記録より3秒早いペースアップ。姉妹の名コンビで世界記録を越えた。その後、ティルネッシュが独走態勢になってからもスピードは衰えず。ディファーの記録を5秒半も短縮する14分11秒15の世界新記録を達成した。満員の観衆からスタンディングオベーションを受け、ノルウエー在のエチオピアが陣取る指定席コーナーでもみくちゃの歓迎を受けた。表彰式では、最上段で観戦していた皇太子カップルもフィールド内に降りてきて祝福。

ティルネシュ・ディババは、通訳のエリアスを通してこう語った。

「観衆のバックアップ、天候、昨年のように走っているときに腹痛が起きることもなく、全てのことが最高だった。いつも練習を一緒にしている姉が、ここにくる前から“世界新記録は破ることができる調子”だといい続けてきました。わたしの5000mの記録は、2年前に出した14分30秒40。昨年、室内でも14分27秒42を記録しているので、それなりの希望を持って屋外で最初の世界新記録を作るチャンスをうかがっていました。天候も寒いよりは今日のように暑いぐらいのほうがイイですね。前半、欲を言えばもう少し早く入っていたら・・・、(注:1周68秒、後半64秒)後半あれほど慌てなくとも良かった。でも、後半は思った以上にスピードが上がったので2周を残して世界新記録は破る自信がありました。アフリカ選手権後、5000mで世界記録への挑戦を目標に1ヶ月間の猛練習の結果です。姉のバックアップに感謝します。5000mの記録は、遅かれ14分の壁を破ることはできると思いますが・・・、わたし自身はわかりません。オストラバGPで10000mに挑戦、その後、ナショナルチームの合宿が国内で北京五輪まで続きます。五輪2種目出場が可能か、わたし一人で決定できることではありませんが、確実に、10000mで金メダルを獲得したいと思います。」

ディババの世界新記録は、ビースレットで54回目のも。姉は3位、今春世界クロカンジュニアで優勝したゲンゼバ(17歳)は15分2秒89で7位だった。

 
(08年月刊陸上競技7月号掲載)
(望月次朗)

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