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驚異の「新星」ジェリモ、走るたびに新記録

パメラ・ジェリモ(ケニア、18歳)は、ベルリンGL女子800mで大阪世界選手権優勝者のジャネット・チェプコスゲ(ケニア、26歳)らに大差をつけて1分54秒99で完勝。あのマリア・ムトロの持つアフリカ記録(1分55秒19)をいとも簡単に破るアフリカ新記録、ジュニア世界新記録、史上9位、6人目の驚異の記録だ。11年ぶりの好記録だった。慣れないインタビューに戸惑いを見せながら「まだ、余力が残っていた。まだ、記録更新はできる。」と言った。このレースは短距離から転向して数ヶ月、わずか5レース目だから驚く。これだけの短期間に無名選手が、世界のトップ選手に躍り出た例も少ないだろう。4月19日、ケニアのアフリカ選手権選考会で2分1秒2で優勝したのが最初のレースだ。それまでは400mランナー。ベスト記録は、2年前の54秒93、200mが24秒68のスプリンターだった。コーチの薦めで800mに転向したばかり。アディスアベバで開催されたアフリカ選手権予選(2分3秒23)、決勝(2分58秒70)では、ムトラを大きく離して独走優勝。続く、ヘンゲロGPで1分55秒76を記録して圧勝。ジェリモの勢いが止まらない。奇跡的な「新星」の誕生だ。ベルリンGLレース後、「ベルリン出場は予定になかったが、トップランナーとのレース経験を積むためのテスト出場だったんです。前半はイイ感じだったが(世界記録ペース)後半、スピードが落ちてしまった。スプリンターだったので前半のスピードは楽ですが、これからも記録を伸ばしてゆくのは簡単なことではありません。コーチの眼は確かで、どうやら私には800mが最適な距離のようです。800mのタクティカルな走り、ペース設定などはよく知りませんが、コーチの指示によって全力を尽くすだけです。どこまで記録が出せるかわかりません。五輪に出れたらベストを尽くします。」と、控えめなコメントがあった。

 
(08年月刊陸上競技7月号掲載)
(望月次朗)

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