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フィリップス vs サラディノの優勝争いか、地元期待のバイヤーも注目

北京五輪で33年ぶり低水準と言われた男子走り幅跳びが、今季、その反動か8.20m以上を超えたジャンパーが20名に膨れ上がり、史上最大の激戦種目になった。

アテネ五輪の覇者ドゥワイト・フィリップス(アメリカ、31歳)が、8.74mの大ジャップを決めてランキングトップに返り咲き。10位が8.38mと近年にない高水準に上がった。男子走り幅跳びは、フィールド種目で大会屈指のスリリングな一発勝負になることが予想される。ことの始まりは、6月1日のヘンゲロGPだった。北京五輪覇者のアーヴィング・サラディノ(パナマ、26歳)が8.56mを跳んで優勝したが、わずか2センチ差で2位に甘んじたフィリップスは「今年のオレは違う。今に見ていろ!凄いジャンプを見せるぜ!」と、自信満々の剛毅な発言を口にした。その1週間後、フィリップスはユージンGPでサラディノに11センチの大差をつける8.74mの大ジャンプをみせ、五輪優勝者のトップ争いを互角とした。昨年、フィリップスは五輪出場ならず「人生最悪のとき」と回顧する。冬季からカムバックを狙い「世界選手権に勝つことしか念頭にない!」と、世界選手権優勝を最大目標に掲げている。

一方、2連勝を狙うサラディノは、足の故障から7月の試合を欠場して調整。その動向が不明だが、順調に故障から回復してくるなら、やはり五輪優勝者同士で優勝争いを演じるだろう。フィリップスはスピードある助走から豪快なシザースジャンプ。サラディノは柔らかいリズミカルな助走から、ポーンと高く天性のバネで跳ぶ跳躍スタイルが対照的だ。ともに、初回の跳躍に注目したい。この2人は記録、経験でほかを圧倒しているが、今季の若い選手の成長、勢いもあなどれない。五輪2位のゴッドフレイ・モコエナ(南ア、23歳)も自己新記録の8.50m、今年の欧州室内選手権でセンセーショナルな8.71mを跳んで優勝した地元期待のセバスチャン・バイヤー(ドイツ、23歳)が8.49m、ミッチェル・ワット(オーストラリア、21歳)8.43m、フランス新記録を樹立したサリム・シデリ(28歳)が8.42mを越すなど、誰が優勝してもおかしくない状況だ。さらに、8.30m台にも3名が控えている。

 
(09年月刊陸上競技9月号掲載)
(望月次朗)

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