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アベル・キルイ、酷暑の高速マラソンを制す 

炎天下の苛酷の気象条件下で、アベル・キルイ(ケニア、27歳)が2時間6分54秒で初優勝。2位にエマニュエル・キプチルチル・ムタイ(ケニア、25歳)が2時間7分48秒、3位のツガイ・ケベデ(エチオピア、20歳)は2時間8分35秒だった。

これまでの常識を一掃した北京五輪高速マラソンは、わずか1年足らずで酷暑の悪条件でも「高速レース」が常識化されてしまったといえよう。今回の大会で暑さ「対策」そのものが過去の話になってしまった。

ケニアの上位に食い込んできた3選手、キルイ(PB:2時間5分4秒、09年ロッテルダム3位)、ムタイ(2時間6分15秒、08年ロンドン4位)、ロバート・キプコエチ・チェリルイヨット(PB:2時間7分8秒、ボストン3連勝など)らは、いずれも世界主流マラソンで優勝、活躍しているトップ選手だ。

優勝したキルイは、「ベルリンは第2の故郷。ベルリンは大好きだ。ベルリンマラソン経験は2回目だ。ベルリンに来ると自信が沸く。われわれはスタートからハイペースで飛ばすことが作戦だった。国のユニフォームを着て走るのは、国のために勝つことを最優先しなければならない。そのためにはチームワークが必要だ。ハイペースは効果的で、ほかの選手らを混乱させる効果はわれわれの思惑通りだった。ハーフを63分3秒。ブランデンブルグ門周辺の観客の応援はたいしたもの。あの声援に何度も元気つけられた。4周目に入ると、トップに残った選手は、ぼく、ムタイ、チェルイヨットの3人の争いになった。まず、チェルイヨット、ムタイの順で遅れだし残ったのはぼくだけだった。選手権大会は勝つことが重要。大会新記録で優勝できたのは悪くはない。調整は完璧にできた」

2位のムタイは、「ケニア代表になって初めてのレースで2位になって幸せだ。チームワークでハイペースをキープして勝利を獲得した」と作戦勝ちを誇った。

後半、追い込んで3位に食い込んだケベデは、「スタートからペースが早かった。自分が先頭に立ってペースをコントロールしようとしたが、ケニア勢にしてやられた。最後に3位に食い込めたのは幸いだ」と、ケニア勢のスピードに降参した。




 
(09年月刊陸上競技10月号掲載)
(望月次朗)

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