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新鋭パトリック・マカウ、世界歴代4位の好記録、大会30周年記念に花をそえる

4月11日、ロッテルダム・マラソンは、今年で30回を迎えた。前日とうって変わって北東からの冷たい風(8−10度、風速4m)に見舞われたが、ケニア、エチオピア勢らのライヴァル争いが予想以上の好記録が生んだ。パトリック・マカウ・ムショキ(ケニア、25歳)とジョフリー・ムタイ(ケニア、29歳)が、ゴール600m前まで熾烈な競争を繰り広げ、、昨年のダンカン・キベット、ジェームス・クワンバイ(共にケニア)らの激走を再演。マカウが世界歴代4位の2時間4分48秒今季世界最高記録で優勝。2位のムタイも歴代5位の2時間4分55秒の好タイムを叩き出した。3位ビンセント・キプルト(ケニア、23歳)、フェヴィサ・レリサ(エチオピア、20歳)らが2時間5分13秒、23秒でそれぞれ自己新記録を大幅に更新した。

マカウは、「1か月前、ハーグ・ハーフで優勝(59分51秒)。調子が良かった。強い風が冷たかったが、レベルが高いレースなのでだれが優勝するか予測は難しかった。昨年、左ひざの故障を起こし、フルマラソンの距離に不安があったので最後まで慎重に走った。まさかこれほどの記録が出るとは思わなかった。気象状況が良かったら、もう少し記録短縮ができただろう」と、物静かに話した。マカウは、これまでトラック経験はほとんどないハーフマラソンのスペシャリスト。07、08年世界ハーフで2位、最高記録は09年58分52秒、この時点でサミュエル・ワンジルに次ぐ史上2位の記録だ。昨年のロッテルダムが初マラソンで、2時間6分14秒の好記録をだし4位。2度目が昨年のNYマラソンだったが膝の痛みで途中棄権。今回が3回目のフルマラソンだ。

20人ほどの大きな集団は、風を背に受けて最初の5kmを14分48秒、ハーフを設定通りの62分08秒で通過。しかし、20km手前から33kmは向い風。32km地点を過ぎてレリサがトップ10集団からするすると抜け出したが、すかさずマカウ、ムタイ、キプルトらが追う。4選手が35km地点を通過したが、キプルト、レリサが力尽きて脱落。マカウ、ムタイの一騎打ち。残り1km地点までマカウが常に引っ張る状態だったが、次第に2人の間にギャップが生まれ、マカウはそのまま7秒僅差でゴール。2年連続、4分台4人の高速レースが完結した。

一方、女子はアベル・ケベデ(エチオピア、21歳)が、後半、一人旅して2時間25分29秒で圧勝。昨年、世界ハーフで3位、1月のドゥバイで2時間24分26秒の2位。パリで優勝したアツエデ・バヤサらと、エチオピアを代表する期待される若手選手の一人だ。2位はポーランド生まれでアメリカ国籍を獲得した元警察官だったマグダレナ・レヴィ-ブレット(37歳)。落ちてきた選手を拾って2位に浮上。08年ボストンで記録した2時間30分19秒の自己記録を大きく更新して2時間26秒22。

 
(10年月刊陸上競技6月号掲載)
(望月次朗)

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