2004年11月7日 ニューヨークシティマラソン
ポーラ・ラドクリフ復活か?
日本女子選手がアテネでマラソン五輪2連勝を達成した。野口みずきの優勝は日本中
が大きく沸いた。 その反応が凄い。野口は今年いっぱい、紅白歌合戦の審査委員を終わるまで、日本中で五輪優勝の余韻で多忙を極め練習もまともにできないらしい。藤田監督がこのままでは、来年の世界選手権大会出場はとても練習時間が取れそうもなく「難しい」と嘆いている。嬉しい悲鳴だ。 まあ、こんな国も世界に類がないだろう。男子五輪マラソン優勝者のバルディニ、メブ、ンデレベ、ディーナ、アレモ、オカヨらは、すでにレース復帰している。 そのラドクリフは失意のどん底より立ち上がるのも早かった。 11月7日、マラソン世界最高記録保持者ラドクリフは、NYマラソンで2時間23分10秒の平凡な記録で優勝した。2位は4秒差でスーザン・チェプケメイ(ケニア)だった。 私は五輪1年前から、世界のトップマラソンランナーとコーチらに「夏レースの練習法を知っているか?」と同じ質問をしてきた。もちろん、その中にはラドクリフと夫にも、昨年シカゴでと聞いたことがある。 ラドクリフもしかり、五輪でよい成績を上げるためには、通常のレース準備よりさらに「ハード練習と暑さ対策」が必要だと言っていた。 これを聞いて思い出したのはバルセロナ五輪前、当時最強選手を誇る長距離選手が五輪前こぞって、バルセロナと同じ気候条件のキューバで「暑さ慣れ」の合宿を行って自滅した。 ラドクリフは足の故障で予定の1ヶ月合宿予定を短縮して引き上げたのだが、想像を
越えたプレッシャー、レース前の全身の震えなどは、「暑さ慣れ」の暑い環境で練習
した典型的な兆候だった。 ラドクリフは男性ランナーをラビットに使ったと言え、脅威的な2時間15分29秒
の世界最高記録の持ち主に変わりない。アテネでは勝ったとはいえ、依然、日本女子
の前に立ちはだかる大きな壁であることは疑いの余地がないことだ。 その手始めに来年の世界選手権でどのような走りを見せるか、やはり目が離せない。 |
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