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朝原×為末
2100m高地で理想のスプリント哲学対談

多くのスポーツ、長距離走、水泳、ラグビー、自転車競技、ノルディックスキー、スケートらでは、高地練習はむしろ必需プログラムとみなされて久しい。しかし、高地の短距離走に高速は証明されているが、高地練習がどれだけスプリンターに影響するか未知の部分が多い。短距離選手で高地練習に興味を見せるものも少ない。その微妙なミステリアスなものに光明を求めて、朝原宣治(大阪ガス)、為末大(A.P.F)、伊藤友宏(秋田ゼロックス)らのアテネ五輪選手、為末の後輩らの練習パートナーを同行、アリゾナ州の北2134mの高地フラッグスタッフ市で合宿を敢行した。世界最大の松林に囲まれている5.5万人の町である。アリゾナ州都フェニックスから北へ約200km、グランキャニオンから南130kmにある世界的に有名なノーザンアリゾナ大学にあるHASTC(High Altitude Sports Training Complex)、スポーツ高地練習施設を利用した。1994年、大学、市、州が協賛してHASTCを設立。これまで世界39カ国のスポーツ団体、特に、水泳競技での施設、バックアップ体制で好評を得ている。アテネ五輪で大活躍した北島選手を含む日本水泳選手、アメリカ、豪州、オランダらの世界トップスイマーがここで合宿している。いわば水泳高地練習のメッカだ。2月半ば過ぎ、現地を訪れた時は1915年以後、最悪の気象状況で連日雪か雨の日が続いた。朝原、為末らは主に室内の322mトラック、屋外トラック、公道を使用した坂のぼりなど、手探りの高地練習だが順調に練習を消化していた。かれらに新シーズンを迎える「走り」の抱負を語って貰った。

今なぜ短距離選手がアリゾナ高地冬季練習なのか?

―2年前ぐらいまで外国に練習拠点を置いていたが、結婚、子どもある家庭環境で現役続行は大変ですね。
朝原―いやもう慣れてきました。それでも結構長い合宿をやっていますよ。これをきっかけにシーズン開幕に持ってゆこうかと思っています。
為末―奥さんの理解があるからね(笑い)

―フラッグスタッフにくる前の冬季練習は?
朝原―11月いっぱいぐらいまではいろんな行事参加があったのですが、ボチボチ始めていました。でも、11月20日頃、練習中に足首を捻挫して、約3週間練習を中断。年末に大ちゃんと宮崎で、山崎さんの率いる福岡大学の学生と一緒に短期間合宿しましたね。年明けからここにくる前、練習はガンガンやってきました。
為末―11月の初めからですね。11月の陸連ハードル合宿、12月末に宮崎で山崎さんの招きで一緒に合宿したのですが、実は、あのころ準高地、1500mは行かなくとも1000〜1200mの合宿を考えて練習場所を捜していたんです。アリゾナの合宿は決まっていたので、その前の準備段階として高地に慣れるためです。その場所を日本で探すと、殆どの場所が雪を被っていて練習が不可能でした。それなら「ちょっと暖かいところでとしたら?」と、山崎さんから「うちは宮崎で合宿がある」と誘いを受けました。

―高地練習のアイデアはどこから生まれたのか?
為末―興味は長いこと持っていたのですが、短距離選手に効果があるかどうかは定かではありません。ただ、世界選手権、五輪直前の合宿を富士吉田で行いました。あそこが大体1000mちょっとあるんです。練習は殆ど平地の練習と変わらない感じですね。しかし、疲労が凄く抜け難いんです。五輪前の合宿でやりすぎて疲労が抜けきらない。身体的にダメージが大きいんだと実感しています。昨年の経験からですが、冬季練習をこれ以上やると身体のどこかに痛みが出てきます。これまではそんな経験は全くなかったのですが、もう、量で身体を痛めるのは殆ど限界まできていますから逆の発想、冬の間もっと強い「環境で負荷を加える」こと。「高地練習」をやってみようかと結論に達したのです。なんとなく中堅の域を出てベテランになって行くに従って、このような練習も必要かな、と思います。シドニーからは半分は引退でしょう。ディアガナ、モリらの選手は完全に引退していますね。
朝原―ぼくはフレデリックスの紹介でアトランタ五輪後からナミビアで3回合宿をした経験があります。あそこはここまで高くはないのですが、700mちょっとあると聞いています。夏のように凄く暑く、強烈な日差しで乾燥していた環境ですから感じが違いますね。ドイツの室内で速いスピードで練習を行い、そのままナミビアの屋外で速いスピードでやれたので、ちょっと今とでは基本的な練習過程が違っています。ここでは平常な体調に戻るまで約1週間掛かりました。でも、今考えると、疲れるがあるという感じはしないのですが、夜寝れず、疲労が抜けるのが遅かったり、喉を痛めたりするのは、ここと症状は似ていますね。ここでも最初は時差ぼけ、高地ボケ、風邪気味がミックスされて消化不良を起こし、おなかが空かないなど、体調を全員崩してしまいました。
為末―それでも体調が戻ってきた感じがしてから、練習がかなり効率的に感じました。400mHは量を確保しなければならない種目なので、それが数を少なくしても身体にくるのがわかりますね。

世界のトップ400mh選手から聞いたことからヒントを得る

―ナミビアの高地練習の結果はどうでしたか?
朝原―高地練習の結果が具体的にどのように影響したか分かりません。でも、ぼくも高地での短距離練習に興味がありました。ここまでくると、これをやったから記録が出ると言う具体的な処方箋はないでしょう。あればイイですが・・・(笑い)ドイツのコーチは走ることだけではなく、ウエイトトレーニングが高地では非常に効果的だといいます。
為末―確かに、なんとなくですがバーベルなどは軽い感じがしますね。空気が薄いからかなー?良くわからないことはたくさんありますよ(笑い)
朝原―呼吸が苦しくなるので回数はできないと思うのですが、低いところで何本もするよりも少ない本数で疲労度が違います。
為末−高地練習については、いろんな人、北島クン(アテネ五輪平泳ぎ2冠の北島康介選手)と同じ事務所ですし、話は聞いていたんですよ。が、今ひとつぼくの種目では効果的な印象が見えなかったです。ひとつは高地では同じような練習量は不可能です。平地でバンバンやっていたほうがイイと思っていたんです。ところが、昨年のGPなどに出場してくる400mHの世界トップクラスの同僚達が、乳酸系の練習をする話を聞いたんです。単純に最後の100mが伸びると言うのではない。ウオーミングアップでみんなが脈拍を測ったり、心拍をかけたりしているんです。そこでもしかしたら、乳酸能力が関係あるかな、と思うようになったのです。

―誰ですか?
為末―F.サンチェス(五輪400mH優勝者)が結構長い距離をやるんですよ。例えば800とか1000m近い距離を走る。N.ケイタ(フランス、五輪400mH3位)も長い距離を走るらしい。かれはよく練習中に脈拍の話をします。「今いくつあるとか」われわれはそんな意識はなく、タイムはいくつとかスピードの有無をいうだけで、脈拍のことを言う人はいません。ですから、その話は新鮮でしたね。
朝原―大ちゃんは400mHなので、ぼくより少し距離が長いので心拍機能の影響は関係があると思いますが、ぼくの場合はあんまり肺、呼吸とかはそんなに関係ない種目です。でも、乳酸はどうかな?走っているときは凄く走りやすいけれど、走り終えると凄くダメージがきていると感じます。ここの冬季練習の目標は、練習と試合の落差を極力少なくすることです。まあ、量はシーズン中より増えると思うのですが、シーズンインしやすい状態とか試合に近い動きで質の高い練習ができればいいと思っています。坂上りをすると、頭が破裂しそうとか、心拍機能など最大限で使っていますが、この経験がどのようにレースに影響するかは未知数ですね。
為末―高地でスプリントレースは、記録が公認されないのですから、常にオーバースピードで身体を動かしている状態ですね。それなりの効果があるのではないかと「フン」でいるのですが・・・。平常では動かないスピードで身体を動かすので「神経」にもイイ刺激じゃあないかと。

―量はどのように決めていますか?
朝原―身体に聞きながらやっています。予定の1/3の量ですね。大分減らしました。
為末―高地練習経験者が口をそろえて言うには、最初は手加減してゆっくり入り、帰り際に疲労をうまく抜くこと。このふたつはキチット守ります。ですから、3日練習して4日目に完全休養を取ります。量もかなり少なくしたのは、予期しなかった疲労度が出るためです。特に、脈拍が落ちない感じがします。ぼくの場合、あとは北京五輪までこの練習が武器になるかもしれないので、感覚を大切に、身体に聞き耳を立てながらデーター収集に期待しています。

朝原、理想的なスプリントの追求

―朝原さんは、今後は1年ごとの勝負になるわけですが、今年の目標は?
朝原―この年齢では先のことは全く考えません。世界選手権に出られたら、そのあとにやめるかもしれません。自分のモチベーションと身体に相談しながらやって行きます。昨年は五輪があったので慎重で、絶対に外せなかった。今年は世界選手権大会がありますが、五輪のほうがやはり切羽詰っていました。重みが違うんです。昨年はかなり小刻みで走ったので47歩で完走。今年はストライド2歩短縮して元の45歩で走る予定です。まあ、歩数の違いはスタートから60mぐらいまで。後半は変わらないですから、前半、特に、タイミングを狂わせないように大きめに空中にいる時間を長くしようと考えています。やってみなければ分からないですが、昨年はかなり安定して、記録もそこそこに出ていますが、今年はもう少し爆発力を出したいですね。

―今年も新しいチャレンジですか?
朝原―五輪はひとつの節目ですが、競技を続ける根底にあるものは、こうしたら早く走れる、こんな感覚があればこのぐらい走ることができると自分を信じることです。自分で信じる理想の走りの追求です。理想的な走りの追求、それを味わいたい思いが深いので五輪が終わったからと言って、それがプッリ切れることはありません。だから、本当に自分が描いて「イイ走り」と「タイム」が一致して、すっきり納得がしたらやめてもいいと思います。人それぞれですが、ぼくが何度も言うのは、自分で予想しないでタイムが早くなったり遅くなったりするのが嫌だということです。総てレース前に理解してコントロールして、しかるべきタイムが出た結果なら、ぼくは最も喜びを感じます。なんでかしらないが9秒台が出たとかは嫌ですね(笑う)幾ら9秒台でも喜べません。
為末―記録が出ればいいじゃあない。(笑い)

―理想の走りの追求ですね。
朝原―そうですね。言葉で表現するのは難しいですが、本当のことを言えば、100mは自分の中で精神、肉体的に納得して、自分のコントロール下で初めて記録を出すものだと思います。もちろん、スターとラインに立ってゴールまで無心に走るのが理想だと思いますが、キチット集中された中で、なおかつ自分の管理下で走り、記録を出すことです。

―それには練習メニューも違ってくる?
朝原―練習メニューはかなりいい加減です。毎年意識することがコロコロ変わるので全然違ったものになります。

―この状態をキープして地元開催大阪世界選手権に望む?
朝原―大阪に行ったら北京まで行きますよ!(笑う)そうなってくると体力の問題が出てくるでしょうが、自分の考えることと身体の動きに「ズレ」が出るときは引退時だと思いますね。今のところはこれが一致しているのでやっています。

高地練習の効果の探求

為末―ぼくはもちろん世界選手権での上位進出と日本記録を狙いたいですね。実は、これは毎年思っていることです。ただ、今は研究者的な心境になって(大笑い)
朝原―エッ!!それなに?
為末―ここにくる前、仮設がいっぱいあって、自分の身体でそれらを試すことになればどうすればいいのか、そのような状況で競技、練習するのも楽しいな〜と思っています(笑う)

―2人の共通点、論理的なところでウマが合うのかな?
為末―しっかり納得を求める部分が共通しているかも・・・。われわれには決まったコーチがいないでしょう。自分でコーチをしなければならない状況ですから、多分、性格が似ているようなところもあるのでしょうね。(大笑い)
朝原―特定のコーチがいないでやっているのは大きな共通点でしょう。

―コーチがいなくても不安にならない?
朝原―それはありませんね。最終的に人がなんと言おうが、自分の信念を曲げるようなことはありませんし、練習についていろんなことを言われても、自分でテストをして良し悪しを決めます。
為末―そこら辺も共通点ですね。最終的には自分に返ってくることですから、経験、テストを繰り返して自分に合うものを選択します。やはり、コーチに1から10まで託すこともひとつの手段ですが、それじゃあ気がすまない。
朝原―基本的には、われわれは人の意見を聞き尊重します。非常に柔軟の姿勢を持っていると自負しています。自分の考えに凝り固まって、コーチに耳を傾けもせず自分の考えだけやっているのではありません。好奇心いっぱいで、いろんなことに興味があります。

―今までの日本選手には珍しいタイプの2人ですね。だから外国生活もスーと入ってゆく。
朝原―ぼくは山崎さんが先駆者でしたね。海外に出て試合に出ているのを見て影響を受けました。スーと入らないときもありますが(笑う)なんとか自分で打開策を見つけますね。選手が外国が嫌いだったら無理ですが、支障がないようだったら外に出るべきでしょうね。メリットは大きいと思います。
為末―楽しめなければ、指示されてここにくるのは嫌ですよ。(笑い)肝臓が痛くなるし、キツイ練習も、自分で選んだから耐えられるんですよ。多少の冒険をしなければ競技者としては楽しくはないでしょう。

為末、ハードル越えの時「休め」世界一の技術

―次の世界選手権大会の4x100mリレーは、十分メダルを狙えますね?
朝原―是非、もう一度挑戦したいですね。これは個人の力ではどうしようもないことですが、末続くん、10秒1台の選手がもう一人がいて3走に入れば、ケッコー3番に食い込める可能性は十分にありますよ。

―翼くんが為末さんが世界選手権でメダル獲得したので、400mHランナーが急増したと言っています。
為末―日本人は耐えられるから、ケッコー合うんだろうね。
朝原―日本人気質に合っているかもね。
為末―これは個人的な意見ですが、日本人の400mHは110mHから派生していません。イイ方向に行っているんで、ほかの国は多くの場合は110mHから派生したケースが多いんです。日本の場合は斎藤さんの時代から始まり、刈部、山崎さんとでき上がってきているんです。明らかにデーターを見た感覚でも110mHとは全然飛び方が違っています。

―世界に400mHの方向性を世界に教えられますね。
為末―もう少し強くなれば・・・の話でしょう。

―しかし、日本の400mHの技術は世界一でしょう?
為末―まあ、そうですね。多分、日本人のほうがハードリングはうまいでしょうね。と言うのも、外国では400m出身者も多いので技術習得が遅れる。または110mH出身者の癖がついて400mHに転向すると難しいものがありますね。400mHは観点が早く飛ぶか、楽に飛ぶか、それだけで全然意味が違ってきます。

―それを分かりやすく説明すると?
為末―110mHはいかにハードルを早く越えるか、400mHはハードルをいかに楽して、ハードルを超える瞬間に「休む」か、スピードを殺さないで越えるか、目標が大きく違うのです。

―ハードルを越える時あなたは「休む」と言うのですか?
為末―そうです。実際、ハードルがあることによって、無理のない放物線を描く越え方をしてスピードを殺さなければ、例えば、ゆっくり手を動かしたりすることによって、「休む」ことができ段々と楽に感じるようになるのです。ハードルがあることが日本選手のアドバンテージでしょう。フラットレースならきついが・・・。(笑う)
朝原―凄い!凄い!渡り鳥が空中で休んでいるようなもの!本当に走るより楽かね?イヤ、イヤ、それは世界一400mH秘術を持つ人しか言えない言葉で、日本人とかじゃあないだろう(笑い)サンチェスなんかそんな言葉を言えない。

―高地練習の成果が400mH最後の50mぐらいから出るのでは?
朝原―ハードルなら十分ありうるでしょう。
為末―ハードルを飛ぶ瞬間息をとめることがあるので、そう考えると心肺に掛かる負担は400mフラットレースよりあるでしょうね。女子400mのA・ゲバラ(メキシコ、アテネ五輪女子400m2位)は、欧州転戦の練習基地をスペインのピレネー山中においています。ちょっとやってみて自分の身体に聞いてみないと分かりませんが、効果があると予想できます。実質的、ぼくに効果ある練習は少なくなってきているので(笑い)、高地練習は重要な一要素として大事にしたいと思います。
朝原―(笑い)大ちゃん、今度から最後の10代目のハードルがしっかり見えるかもよ!!
為末―そうなって欲しいね。最後になると、もうかすかにしか見えないですから。それでも飛んでいる。

―理想の100m「走り」を飽くなき追求、高地練習に限界を超える「活路」を模索する各々違う目的ですが、二人とも競技に妥協を許さない姿勢が最も共通していそうですね。
朝原―まあ、どこかで波長が合うところが多いですね。

―高地練習の効果で今年も良い走りを期待します。がんばってください。

海外レースに挑戦したい!

伊藤友宏は、アテネ五輪4x400mリレー4位の実績を持ち、学窓を出て社会人1年目を迎える。朝原、先輩の為末らに「伊藤は強い!」と言わしめる今季の冬季練習で成長著しく、好調を示した合宿だった。高地練習、今季の抱負を語る。

「昨年は五輪の年でしたから陸連主宰の合宿がかなりありましたが、今年は全然なくて、どこかに合宿に行きたいと思っていた矢先、為末さんが高地練習の話を持ってきてくれました。説明を聞くと、日本の水泳選手が五輪前に合宿したところで、高地練習の効果があるので『お前どうか?』と言われてきました。最初の1週間は高地に慣れるのがきつく、軽いジョッグでも脈拍、心拍が上がって、平地よりかなり違う感じを持ちました。でも、平地より量が少なくてかなりの負荷が掛かる実感を受けましたから、やってみた感触はイイですね。五輪の経験は、言葉に表すことができないほどです。大学から一挙に世界を経験しましたから、やはり想像以上の大きなインパクトでしたね。今年はまた違ったモチベーションがあります。個人的にマイルリレーではそこそこ走れたのですが、世界と比較すると力の差は大きいことを痛感しました。それと、個人種目に出場した人はみんな失敗していたのを目撃しているので、経験不足もあるのかなと思いできることなら海外レースで経験を積んでみたいと思います。小さいレースでも違った環境で外国選手と走りたいですね。今年秋田ゼロックスに入社したのですが、基本的に練習環境はこれまでと変わらない法政大学で練習を続けることができます。ぼくの就職先は2年後に秋田国体が開催されるので、すでにそれを見計らった県の強化策の一環プログラムです。会社は放任主義で金は出してくれるが、口は出さない。社会人1年生と言ってもまだ実感はわきませんし、昨季の冬季練習より今年のほうが動きもかなり良く、イイ感じできていますので、冬季練習段階まではかなり昨年より良さそうです。今年の目標は、世界選手権個人種目出場とリレー、タイムは45秒前半の記録が目標です。」

完成度の高い総合的な高地練習環境が完備されている

ショーン・H・アンソニー(HASTC)談

「われわれの高地スポーツトレーニング施設は、ノーザンアリゾナ大学に属していますが、アリゾナ州、フラッグスタッフ市、大学の3者共同で開設したものです。現在ではアメリカ五輪高地練習場に指定され、94年開設されて以来、特に、水泳高地練習場として多くの国の水泳選手がここで練習、好成績を上げた実績を持っています。アテネ五輪前、日本水泳協会強化練習で多数の選手が参加。アテネ五輪で素晴らしい成績を上げました。これはわれわれも非常に喜んでいます。ここの特徴は、チベット高原に継ぐ世界第2位の高地で2130mあります。もちろん、それ以上の高さで走ることもできます。次に、インフラストラクチャーが完備しています。例えば、血液検査、選手の故障、事故に対する迅速な対処など、総ての医療に関するバックアップ体制を完備しています。また、これだけの高地に400mの全天候トラック、室内50mプール、室内330mトラック、ジムなど、一箇所に近代的な施設完備があるところは世界でも稀でしょう。郊外にはカヤック、カヌー、ボートが練習できる湖もあります。大学は町の中央にあり、おおよそほかの高地練習場は山の中にあったり、郊外にあったりするのですが、1.3万人の学生のキャンパス内です。街中にはたくさんのレストラン、ホテルもあります。予算に応じて、合宿の世話をいたしますので、高地練習のことはわれわれにお任せください。スタッフ4人が24時間体制でバックアップします。」

(月刊陸上競技誌05年4月号掲載)

(望月次朗)

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