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瀬古利彦、陸連改選で理事に昇任される。

現SB食品監督であり、かつてマラソン15戦、10勝した史上最強と呼ばれた名ランナー、瀬古利彦(48歳)が陸上競技連盟の理事に選考された。26人の理事の中で5番目に若く実業団の現役監督では唯一の理事だ。

「監督やコーチの現場の声を吸い上げて理事会で言うのが仕事」とのコメントしたらしいが、現場と陸連のメッセンジャーボーイになったようだ。

瀬古は89年SB食品監督に就任して、後輩の早稲田卒の大物選手を集めた。選手も瀬古監督の手腕に期待してきただろうが、今日まで一人も国際的に通用する選手を育てた実績がない。長島茂雄と同じく、「名選手、名監督にあらず。」これ名言なり。

アテネ五輪に国友選手がSB食品から出場したが、国近は移籍してきた選手で、瀬古が指導したのは短期間だった。アテネは日本選手最下位の42位だった。

瀬古と同世代のライバル選手、宗茂、猛兄弟、伊藤、中山らの中で、宗兄弟は広島監督の遺産を食い潰してきた。茂は不振の責任を取って監督を辞任したが、上手く大学へ横滑りの口があったからだろう。これから猛一人でやってゆかなければならない。

中山はいろんな屈折があったが、これからどうなるだろうか。現役で1勝もできなかった伊藤国光が、遅咲きながらも高岡を大きく大成させた実績を持つ。

個性が強く、独立心旺盛な実業団監督らは、本業の選手育成で暇はなし。陸連理事のような政治の駆け引き、派閥闘争が激しいところは「真っ平御免」だろう。

実業団の現役監督が陸連理事になった背景には、瀬古が陸連で伝統的に強い派閥、早稲田の出身であるということと、名誉職と考えてありがたく受けたということがあるだろう。

今から瀬古に北京五輪で活躍できそうな選手育成は全く期待しない。瀬古に期待できるのは、かれの陽気な性格と軽妙な語り口を交えて、ズバリと本音を喋り、陸連のあの暗い雰囲気を変えることくらいだろう。

(望月次朗)

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