世界新記録を書き換える、9秒75!で走る!パウエルよ、俺に追いつけ!
ジャマイカ出身のトレヴォー・グラハムのグループ、「The Sprint Capital」が、今季もジャマイカ合宿で新年のスタートを切った。グラハムはこれまで、 ティム・モントゴメリー、マリオン・ジョーンズ、ジュスティン・ガタリン、ショーン・クロフォードラら、世界記録保持者、五輪、世界選手権優勝者ら20名の一流スプリンターを育ててきた辣腕のコーチだ。昨年のジャマイカ合宿、ダグラス・フォーレスト高校での競技会に出席、学生との交友を本誌で紹介した。かれの年頭に掲げたモチベーション、世界選手権2種目優勝を見事果たして世界最高選手の名前を欲しいままにしている。が、ジャマイカは自他共に誇る、アメリカに次ぐスプリント王国だ。アメリカが長年保持していた世界最速記録は、パウエルが奪った。ガタリンはジャマイカに到着と同時に、大勢の地元メディアに囲まれ「世界最強選手」のガタリンに、地元の英雄「世界最速男」のパウエルを当てた場外扇動をした。 地元メディアの煽りにガタリンは、柔和な「ガタリンスマイル」だが、自信溢れる態度でメディアを通して、パウエルに向かって容赦ない言葉の「戦い」を挑む。パウエルを扇動、シーズン前哨戦に相応しいスプリント界の両巨人が熾烈なライバル意識に熱く展開した。 「今年は室内世界選手権があるだけ。とりわけタイトルが目標にならない。おれがかけているのは世界記録保持者になることだ。ジャマイカの皆さんに言えるのは、おれが9秒75を目標にしていることだ。また、ショーンも世界記録を狙ってくる。この記録達成は、硬いトラックで、気象条件が完璧で、競争相手が良ければ走れる。昨年、パウエルは春先から、世界新記録更新にターゲットを絞ってきた。俺はタイトル獲得に全力を尽くして集中してきた。パウエルは世界選手権大会前に故障して走れず。予想が大きく狂っただろう。かれは世界記録保持者だが、タイトルホルダーではない。今後は必死になって世界選手権、五輪金メダルを目標にしてがんばるだろう。多分、かれは今年大英連邦選手権優勝だろうが・・・、われわれの頭で考えることはかなり違っている。俺は家に飾ってあるたくさんのトロフィー、メダルを眺めることも大好きだが・・・、まだまだ、やることはたくさんある。過去のキャリア、栄光、思い出に浸るのはまだ少し経ってからだね。かれはかれのの新しいページを開かなければならない、今年のかれの新しいページは、昨年以上に良くなければならない。俺のものと違う。現在、俺は丘の頂点に立っている。パウエルはこれから、俺に追いつかなければならない立場だ。また、パウエルが自分の持っている世界記録を破ることだ。今年は今年の風が吹き、明日は新しい日が来る。過去の栄光にしがみついても、現役アスリートなら意味のないことだ。お互いに、今年のレースは面白くなるだろう。俺はパウエルを深く尊敬してる。パウエルは俺を尊敬してくれていると思う。これは世界最速を掛けての「スプリント戦争」だ。堂々としたトラック上での紳士の争いだ。」 グラハムコーチ談(注:ソウル五輪、ジャマイカ4x400mの2位のメンバー) ジャマイカ合宿は、1月10〜18日までだった。この間、グラハムが卒業したパイン高等学校に練習エアー、スパイク、シューズなどを寄付した。 写真: Bryan Cummings (06年月刊陸上競技誌3月号掲載) |
||
Copyright (C) 2005 Agence SHOT All Rights Reserved. |