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ワールドアスレティックファイナル

室伏一投目で逃げ切る

室伏は「一投目に集中力とタイミングをうまくまとめて投げられた。狙ったわけではないが、1投目をうまくまとめて81メートル42。ほかの選手にプレッシャーを掛けることができて結果的に優位に立てたと思う。まだ、いろんな点で修正しなければならない点があるが、今年はカムバックシーズンを迎えて、予想以上に短期間で結果がでた、勝負、記録共にかなり満足できる状態だ。」と、優勝の喜びを語った。

室伏のライバル、今季ベスト8選手全員が、シーズンベスト記録は80mを突破している。昨季の1年間のブランクをものとせず、強豪選手を迎えて貫録勝ち。今季6戦全勝を飾った。室伏は3投目にファウルながら83mをゆうに越した。室伏は「結果的にファウルになったが、感触的には非常にいい状態になりつつある。今季まだワールドカップ、横浜GP,アジア大会の3戦が残っているが、完成度をさらに高め、技術的チェック、修正をして、連勝記録をさらに伸ばす、記録的にもう少し伸ばしたいと思う。」と、気負いもなく淡々とマイペースで完成度を高めてゆく。


澤野、ワールドアスレティックファイナル出場権獲得

ファイナル出場権を獲得したのは、これまでの溝口、室伏、為末に続いて澤野大地が4人目の快挙だった。澤野は欧州遠征2年目にして、世界最強7人目のポールボルターの仲間入りを果たした。今季欧州遠征3回目の土壇場で、急遽出場決定したポイント獲得できる最後のロベリト大会で5.70をクリアーして強豪に競り勝って優勝。6ポイントを獲得。続く3日後のパドワ大会でも5.70mを跳んで2位だが、この大会はポイントがつかない。両大会でバーを5.85mに上げて日本新記録に挑戦。惜しくも身体は浮いたが2回ともバーが胸をかすめて落とした。その好調を続けて、ベルリンGLに出場したが記録なし。5試合で合計34ポイントを獲得して7位。澤野自信が今季最大目標にした『ワールドアスレティックファイナル』出場権をベルリンGLで決定した。その喜びと欧州遠征の成果を訊いた。

「最後にファイナル出場が決定してホッとしています(笑顔)今季3回目の欧州遠征では、チューリッヒGL出場は決まっていたのですが、2回目の遠征の結果がそれほど思わしくなかったので、結果が直ちに大会出場に影響するし、競争が激増して簡単に出場できない。スウェーデンの南部、マルモ市の大会ではポイントがつかない。ぼくとラース・ボーゲリング(ドイツ)が、ベスト8入りを争っているような状態だったので、ラースが出場する地元ベルリンGL前に、なんとかしてポイント獲得できる試合に出場したかった。オーストリアのリンツ、イタリアのリエティ大会には出場できそうもない。デンハーグで道路上に特設された「ストリートポールボルト」大会に出場。雨で5.42mしか飛べなかったんですが身体が気持ちよく浮いていた。このころはポイント獲得しか念頭になかった。(苦笑)マネージャーが、急遽、ベルリンGL前のポイントがつく最後のロベレート大会(8月30日)に押し込んでくれ、パドバ(9月1日)にも出場を決めてくれたのは運が良かったですね。ですから、6日間でベルリンGLを入れると3連戦。このような状況の中で世界のトップ選手と戦うのですから、欧州転戦1年目と比較すると、メンタルとフィジカルも相当タフ、融通が効く自分を自覚します。ラースはベルリンでポイントゼロ。ロベレートの結果が明暗を分けましたね。あれだけ土壇場でポイント獲得に必至になった状況で足の「吊り」もなかったし、ロベレート、パドバで2試合連続して5.85mの日本記録に挑戦して、惜しくも外したが身体はうまく浮いていたので少しの調整で跳べる確信があります。」


澤野大地、ファイナル出場

紺碧の空。早くも初秋を迎えたシュツッガルトで行われた第4回目のワールド・アスレティック・ファイナルが9月9〜10日の2日間開催された。

澤野大地は(ニシスポーツ)5.65mを跳んで6位だった。

今季の男子棒高跳びのレベルがかつてないほど高い。6.00mをただ一人クリアーしたブラッド・ウォーカー(USA)を筆頭に、5.90m台が3名、5.80mが6名。ファイナル・エイトで澤野の記録はもっも低い5.70mだ。しかし、澤野は「ファイナル出場は夢だった。苦労して獲得した出場権。」と言うように、澤野は参加選手でも自己記録は8選手中7位だったが、強豪選手を向こうに激戦。5.50、65mを1回目で余裕でクリアーしたが、「入れ込み過ぎて75に上がってタイミングを崩した。」と言った。結果は6位だった。「調子はいいのでアテネワールドカップでは、気持ちを楽にして跳んで記録に挑戦したい」と語った。


(月刊陸上競技誌、06年10月号掲載)

(望月次朗)

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