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男女とも平凡な記録、伏兵ドスサントス初優勝、プロコツカは2連勝

第37回NYシティマラソンは、男子はマリウソン・ゴメス・ドスサントス(ブラジル)が2時間9分58秒で初優勝、女子はエレナ・プロコプツカ(ラトビア)が2時間25分4秒で2連覇を達成した。優勝賞金は男女とも13万ドル(約1520万円)。

多少寒かったが、男女共世界トップ選手が集結、無風状態で絶好の気象条件だったにもかかわらず平凡な記録だった。

最初に女子がスタート。優勝候補筆頭は、今春ロンドンマラソンを史上4位の記録で制し、地元の期待を一身に集めたディーナ・カスター。続く、昨年の覇者イェレナ・プロコツカ(ラトビア、30歳)、キャサリーン・ンデレバ(ケニア、34歳)、ローナ・キプラガト(オランダ、32歳)、リタ・ジェプトゥー(ケニア、25歳)スーザン・チェプケメイ、(ケニア、31歳)らが続くと予想された。しかし、勝ちにこだわったのか、ペースメーカーのルミニタ・タルポス(ルーマニア)を追ったのは、プロコツカただ一人の消極的なレース展開。おかしな展開は、ペーサーが独走。ハーフを1時間12分19秒で通過。大きく遅れたプロコツカ、タティアナ・ラディヤ(ウクライナ、31歳)の2人が1時間13分52秒で通過。さらに10秒遅れで5,6人の集団が続いた。後半から一騎打ちとなり、プロコツカがラディアを勝負どころ残り7キロでかわして2時間25分05秒の平凡なタイムで2連勝した。プロコツカは「序盤、ラビットのペースはわたしには早すぎたので自分のペースで走った。誰も追ってこなかったので一人で不安になったが、ラディアと一緒に走り出してからは自信が持てた。」という。終盤、プロコツカはセントラルパークに入って独走「すごく楽しめた」。2位のラディアに約1分の大差をつけ優勝。女子はプロコプツカが、1994、95年大会を制したロルーペ(ケニア)以来の連覇を達成した。

一方、女子より35分遅れでスタートした男子に記録への期待が掛けられたが、女子レースよりさらに酷い、最近では珍しいハーフを1時間5分36秒の超スローペースで通過した。レースは25キロ過ぎまでトップ集団に20人以上がひしめくスローペース。無名のマリウソン・ゴメス・ドスサントス(05年世界選手権マラソン10位、自己記録は04年シカゴで出した2時間8分48秒。5000m13分19秒43,10000m27分48秒49、両記録とも06年ブラジル記録を更新。29歳)が、32キロ付近で集団から抜け出してスパート。そのまま逃げ切ってブラジル選手の初優勝。ゴールしてしばらく呆然としていた。「首位に立ったことは驚かなかったが、誰もついてこなかったのも、勝てたのも驚きだ」と話した。一時は40秒差から2位になったステファン・キオゴラ(ケニア、31歳)、3位の連覇を狙った世界記録保持者ポール・テルガト(ケニア、37歳)らが13秒差まで短縮したが時すでに遅し。ドスサントスは「マラソンに勝つには勇気が必要。きょうはその勇気を持てた」と、大喜びだった。しかし、勝つためのタクティカルなレースは、記録への期待もなく、レースのスリリングな醍醐味も失ったのは残念だ。

(06年月刊陸上競技誌12月号掲載)

 
(望月次朗)

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