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イーブンペースが400m理想の走りだ

クライド・ハート(72歳)は半世紀に渡るバイロー大学陸上競技コーチを務めている。現大学陸上競技クラブのディレクターだ。主にプロ選手専門に200,400m選手をコーチしている。

ハートが世界的に名を上げたのは、マイケル・ジョンソンが世界選手権男子400mで4連勝、アトランタ五輪200,400mで2冠優勝を果たしたからだ。ジョンソンがアテネ五輪後、半ば引退したハート・コーチと契約。ジェラミ・ウォリナー、ダロード・ウイリアムセン(アテネ五輪4x400m第3走者として優勝)ら専属コーチに就任した。2年前から、女子200,400mのサンヤ・リチャーズをコーチしている。昨年、GLジャックポット男女400mウォリナー、リチャーズが6戦無敗だった。

このハート・コーチの語録が面白い。

・ 400m選手は短・中距離選手として、どちらに行っても潰しが利く種目だ。
・ 400mはパワーとスピードのカクテルだ。
・ この年になっても毎年習うことがある。今の選手が昔より早いのは情報力も豊富でコーチの力が上がったからだ。
・ 陸上競技練習はラボのようなもの。テストの繰り返しのため、毎年なにかが違う。そのテストからいい選手が生まれる。
・ コーチは「シェフ」のようなもの。素材をうまく適切に料理する仕事だ。
・ 陸上競技のコーチ、練習プログラムはフットボールのような秘密は存在しない。
・ 陸上競技コーチは情報交換が盛んだ。というのも各選手が違うし、コーチがどうのように情報を理解するのかによっても違ってくる。
・ マイケル・ジョンソン、ジェラミ・ウォリナーは、全く違うタイプの選手だ。マイケルはピークが32歳でそのまま引退したが、ジェラミは高校時代からテキサスで強かった。
・ 若いサンヤ・リチャーズは、われわれのところに来ていい刺激を受けて伸びた。
・ 陸上競技で注意しなければならのは故障だ。
・ 400mを最も効率良く走ることは、イーブンペースで完走することだ。
・ 黒人選手がトラックで強いのは、社会的背景が強く影響しているためで、人種的な生まれ持った素質の差ではない。
・ 黒人選手が短距離に強いが、科学的な根拠はない。
・ コーチは経験が最も大切だ。この経験は買うことができない。
・ わたしは引退はありえない。健康である以上はこの仕事を続ける。若い人と一緒の仕事なので若さを保てる。

ハート・コーチは若い400mの逸材、ジェラミ・ウォリナー、サンヤ・リチャーズらに、近い将来世界新記録の期待を寄せて今日もストップウォッチを手にしてフィールドに立つ。

 
(望月次朗)

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