世界陸上直前! メセレト・デファー Meseret Defar ティルネシュ・ディババ Tirunesh Dibaba メサレト・デファー(24歳)とティルネシュ・ディババ(22歳)は、エチオピアが誇る優劣付けがたい女子長距離選手だ。2人は同じナショナルコーチの指導を受け、同じマネージャー、スポンサーだが、いろんなことで比較される。 デファーはエチオピア選手では異例に属する首都アディスアババ出身の都会育ち。ユース世界選手権で頭角を現し、順調に育ってアテネ五輪5000mで優勝した。今季、室内世界記録を更新。余勢を駆って、6月15日にオスロGLで自己の持つ世界記録を一気に8秒近く塗り替える14分16秒63の驚異的な世界新を樹立した。故障から完全に立ち直り、大阪で初の世界陸上優勝を狙っている。笑顔が絶えず、社交的で明るい性格の持ち主。数年前、サッカー選手と結婚した既婚者だ。 一方のディババは、長距離選手の宝庫≠ニ言われる、アディスアババから南に260kmの位置にある標高約3000mの高地、ベコジ村出身だ。3歳上の姉のエジェガユー・ディババは、アテネ五輪10000m2位。五輪2回優勝、エチオピア史上最強女子選手のデラル・ツルとは従姉妹同士にあたる。ティルネッシュは、姉、従姉妹の影響を受けて走り出した。史上最年少の18歳と90日で03年パリ世界陸上5000mに優勝。続く05年ヘルシンキ大会では、男女を通じて史上初となる世界陸上5000m,10000mの2冠を獲得する強さを発揮した。言葉数が少なく、物静かな性格だ。 この2人は、エチオピア伝統の爆発的な切れのあるスプリントが武器。最後の1周を55秒前後で回る。この劇走は手に汗を握るもの。一見の値する瞬間だ。昨年、ディババはGL5000m5戦全勝のまま、ベルリン最終戦まできた。ここで勝って6戦全勝すれば「ジャックポット」の賞金100万ドルを他種目の全勝者と分けるチャンスだった。ところが、最終戦にデファーが出場。勝負は最後の1周に持ち越され、デファー対ディババの非情なスプリント一騎打ち。わずかの差で意地を見せたデファーが競り勝って、ディババはジャックポットの数千万円を失った。 2人はここ数年、ほとんど会話をしていない。理由は定かではないが、都会っ子と田舎出身、五輪優勝者対世界陸上2冠など、なにかにつけて同国内では両雄立たず。実力差は伯仲して紙一重。その日のコンディションで勝敗が決まる。タイトルを懸けたレース以外、めったなことで一緒に走らない。 デファーは5000mを得意とし、10000mを走ったことがない。ディババはトラックからクロカンまでの長距離万能ランナー。大阪で、デファーは5000m初優勝に全力を尽くし、春先に左足首を故障したディババは、徐々に調子を上げて2種目2連覇を目指す。2人のライバル意識は容赦なく激しい。 |
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