世界陸上直前! 女子棒高跳 エレナ・イシンバイェワ(ロシア) Yelena Isinbayeva エレナ・イシンバイェワ(25歳)は華のあるスター選手。彼女見たさに観客が足を運ぶ。女子棒高跳が世界陸上に採用されたのは99年の第7回セビリア大会から。五輪の正式種目になったのは翌年のシドニー大会が最初だった。歴史の浅い種目だが、ここ数年のイシンバイェワの活躍によって非常に注目される種目になった。大阪世界陸上でも、華やかなイシンバイェワのワンマンショー≠ェ世界の注目を集めるだろう。 彼女は五輪、世界選手権、世界室内選手権、欧州選手権、欧州室内選手権など主要タイトルをすべて獲得する輝かしい金字塔を打ち立ててきた。テニスではないが、女子アスリートで史上初の「グランスラム」達成者と言ってもいい。 イシンバイェワが出場する多くの試合で、彼女はピッチの中で本を読むことから始まり、毛布に包まって休んでいる。最後の1人が失敗した後、最初の試技であっけなく勝敗を決まるケースがある。それから単独で本格的な高さへの挑戦が開始されるのだ。イシンバイェワは女子でただ1人の5mボウルターであり、室内も含めると19回も世界記録を更新している。 第二次世界大戦のターニングポイントになったロシアの激戦地、スターリングラード、現ボルゴグラードの出身。多くの女子棒高跳選手がそうであるように、イシンバイェワも体操競技から転向した。彼女は典型的なロシアのスポーツエリート育成システムで育った。体操選手として大成するには身長が高すぎたことで陸上競技、その中でも棒高跳に転向することを薦められ、エブゲニ・トロミモフ・コーチから指導を受けて希有のジャンパーに成長した。 前回のヘルシンキ世界陸上で優勝後、男子棒高跳現世界記録保持者のセルゲイ・ブブカ氏(ウクライナ)のアドバイスもあって、ボルゴグラードを離れてモナコに練習拠点を移し、かつてブブカのコーチだったフィタリー・ペトロフ氏に指導を受けるようになった。この大きな転機を彼女はこう語る。 「10年間、トロミモフ・コーチから棒高跳のすべてを教えてもらってここまで成長してきましたが、今の段階からさらに向上、前進するために環境、コーチを変える必要があると考えました。まだ完璧に技術も習得していません。さらに高く跳ぶには、硬いポールに替えて、握りを高くして、全身を使ったスムーズで大きなスウィングに改造中です。技術習得は一歩一歩できるもの。時間が必要です」 今季のイシンバイェワは、ワールド・アスレティックス・ツアー最高峰のゴールデンリーグの初戦、6月15日のオスロGLで4m85をクリアして楽勝したが、技術的な調整、ポールの選択などに戸惑い、苛立ちを見せていた。この時点で、今季急成長したジェニフェー・スタチンスキ(米国)の4m88に続く世界ランク2位だった。 次の試合となった6月27日のオストラヴァGPで、イシンバイェワにしては珍しく4m66の低調な記録に終わった。しかし、7月6日のパリGLでは1回の試技ごとにスタンドのペトロフ・コーチと入念に言葉を交わして技術調整を行い、今季世界最高の4m91をクリアして実力をアピールした。次の高さを自己の持つ世界記録より1cm上回る5m02に上げて挑戦。惜しくも20回目の世界記録更新はならなかったが、今後に向けて好感触をつかみ、再び世界記録更新モードが蘇ってきた。 「正直なところ、2、3位の選手は誰も覚えていません。大阪では新しいコーチの下、新しい技術、新しいポールを使って、世界新記録で優勝したい」と笑顔で語った。 |
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