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全米陸上 女子種目五輪切符の行方

女子100M 〜伏兵リーが10秒85で栄冠、準決勝で10秒78のエドワーズは2位〜

女子100mは五輪予選会で最激戦種目の一つだ。第1次予選から10秒94,89,91を連発して絶好調のマーシュヴィッツ・フッカー。常連のトリー・エドワーズが準決勝で今季世界最高・世界歴代8位タイの10秒78で通過。大試合に強いローレン・ウイリアムスをはじめ、第2次予選で10秒85の自己記録を更新したムナ・リー、意欲的に100mに挑戦するアリソン・フェリックスら多彩なスプリンターが決勝に進出。決勝は5選手が10秒台でゴールに飛び込む。僅差でアテネ五輪200mで7位、ヘルシンキ世界選手権100mで7位と渋い成績を残していた今年27歳になるベテランのリーが自己新の10秒85で初優勝。エドワーズ、ヘルシンキ世界選手権の覇者、大阪2位のウィリアムズを押さえた。リーの優勝談「誰が勝ってもおかしくない決勝は、かなり緊張した。スタートが良く、後半もスムースにリズムに乗って走れた。03,04年NCAA優勝した感触を取り戻した。選考されてホッとした。」2位のエドワーズは、「勝ちたかったが、最善を尽くした。次の決着は北京で。」と結んだ。2次予選(10秒76/+3.4)、準決勝(10秒89/+3.2)と追い風参考ながら快走していたフッカーは4位、「スタートで躓いたのが最後まで響いた。これも運命よ」とサバサバ。200m専門のフェリックスは5位にとどまった。



女子200M 〜フェリックス、順当勝ち〜

アリソン・フェリックスは、100mに出場、400mでも今季サブ50秒を突破しているが、やはり200mで最も持てる力を発揮できる選手。決勝では21秒82の好記録で、100m優勝勝者のムナ・リーを振り切って優勝。フェリックスは、「優勝してホッとした。決勝は、自分のレースができた。まだ、五輪まで調整しなければならないことが山ほどある。わたしは基本的に400mを中心に考えている。今後、最初の50から80mの走りを完成したい。カーブを出るとき、トップに立っていたい。五輪前、もっと200mレースの経験が必要になってきた。五輪でのリレーで走るかどうかについては、現時点では全く知りません。」

2位になって、100,200m、リレー3種目出場を決めたムナ・リーは、「4年前は内側のコースを走るのに自信がなかったが、経験からフェリックスを見ながら走ってもパニックにならなかった。100mも200mもできればみんなが言う“ハードウェア”(硬いもの、メダルを・・)を獲得したい。」と、自信ありげだった。

男女100,200mは、「アメリカ対ジャマイカ」戦の上位争になるだろうか

女子100Mハードル 〜ジョーンズ、追い風で12秒29で制す〜

今年、室内世界選手権優勝。前回は2次予選で敗退。様々な職業を転々としながら、好きなハードル選手を続けてきた。予選からほぼ完璧な走りで全米初優勝。セミで12秒48の自己新記録、決勝は追い風で12秒29の驚異的な走りだった。

「決勝は、少し疲れがあったので心配していたが、レース前の不安もなく予想以上のいい走りができた。セミで自己記録を出したので気分的に楽だった。4年間、この瞬間のために努力してきた。この経験からも簡単に物事を諦めないことの大切さを知った。努力が必ず報われることを証明した。4年前は2次予選で敗退したが、やっと国内で初めて大きなタイトルを獲得できた。こんなうれしいことはない。この調子をそのまま五輪に持ち込みたい。少なくともメダル獲得を果たしたい」

ジョーンズはインディア、ノルウェー、アフリカンらの血が混じる混血。

アテネ五輪覇者のジョアナ・ヘイズは、準決勝を12秒68で通過したが、決勝は左足太ももの軽い故障のためか、12秒96の最下位7位。選考に漏れた。

女子400M 〜リチャーズ、因縁のトラックで五輪出場達成〜

サンヤ・リチャーズは、昨年苦渋を飲まされた2位のワインバーグに1秒の大差をつけて49秒89で圧勝。念願の五輪初出場を豪快に決めた。昨年、同じトラックで優勝確実視されながら4位。世界選手権出場権を失った失意からカムバック。「五輪出場を1年間考えていた。スタート前、不安、緊張、昨年の悪夢は忘れることができなかった。五輪トライアルは最も精神的にタフなレース。出場権を獲得してホッとした。今日は風があったがほぼ完璧なレースだった。前半を少し遅く通過したが、カーブをうまく走れてスムーズに後半に繋ぐことができた。これで五輪優勝候補の一人として出場。フィアンセ(アーロン・ロス)は今年のスパーボールで優勝。こんどはわたしが五輪優勝するとき。ここまで家族とフィアンセが支えてくれたことに感謝したい。」








女子棒高跳び 〜スタチンスキ4.92m、全米新記録で圧勝〜

サンヤ・リチャーズは、昨年苦渋を飲まされた2位のワインバーグに1秒の大差をつけて49秒89で圧勝。念願の五輪初出場を豪快に決めた。昨年、同じトラックで優勝確実視されながら4位。世界選手権出場権を失った失意からカムバック。「五輪出場を1年間考えていた。スタート前、不安、緊張、昨年の悪夢は忘れることができなかった。五輪トライアルは最も精神的にタフなレース。出場権を獲得してホッとした。今日は風があったがほぼ完璧なレースだった。前半を少し遅く通過したが、カーブをうまく走れてスムーズに後半に繋ぐことができた。これで五輪優勝候補の一人として出場。フィアンセ(アーロン・ロス)は今年のスパーボールで優勝。こんどはわたしが五輪優勝するとき。ここまで家族とフィアンセが支えてくれたことに感謝したい。」

 
(08年月刊陸上競技8月号掲載)
(望月次朗)

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