ボルト、フレイザー、キャンベル−ブラウンら北京五輪メダリスト健在! 6月末、世界各国でベルリン世界選手権選考会が開催された。中でも、ジャマイカ、アメリカ両スプリンター王国選手の結果は世界中の注目を浴びた。もちろん、ジャマイカ国内でも国内メディアが過熱気味に煽動。北京五輪スプリント3冠王のボルト、女子100mのフレイザーらの活躍に、次回世界選手権でも北京以上の「ジャマイカ旋風」に期待が掛った。 ジャマイカは、アメリカ選考会より1日遅れで開催。否応にもウサイン・ボルト−タイソン・ゲイ論議が過熱した。ゲイは、「追い風ながらオレも9秒7、ボルトも9秒7。お互い順調に調整できている。ベルリン対決が楽しみだ」と。 ボルトはこれを一笑、「ゲイの9秒75は追い風3.4m。オレはスタートが最悪、追い風2.1mで9秒77だった」と、内容が全く違うと突っぱねた。 2人の口論以上に、両国の選考会そのものが大きく違う環境にある。アメリカ男女の100m準決勝突破は、五輪、世界選手権大会同等の厳しさがあると言われている。が、小国ジャマイカの男子選手層は薄く、ボルト、パウエル以外の選手は、やはり格が大きく違う。 ボルトは決勝でスタートが大きく遅れ、隣接4コースの足首の故障上がりで『片足で走っているような』と表現した元世界記録保持者のアサファ・パウエルに先行を許したものの、30mで追いつくなり、60mで2m以上のリード。観衆に目を向けながら軽く流して9秒86(向かい風0,2m)で楽勝。パウエルも9秒98で2位だった。 ボルトは、「スタートが今日も出遅れた(苦笑)故障もなくトップ通過をすることだけを考えた走りだ。現状では記録は悪くはない。」と、サバサバしていた。 4週間足首の故障から満足に練習できなかった状況のパウエルは、「ボルトと競り合える状況ではない。2位通過を考えただけ」と、久しぶりに明るい笑顔を見せていた。 ボルトは200m決勝では、向かい風2.4mの中20秒25でダントツの強さで楽勝。北京五輪3冠王の貫禄、存在を世界にまざまざ見せ付けた。 『記録は悪くはないが、まだまだ北京並みの調子ではない。故障もなく、常に自分のベストレースをすることでおのずから結果はついてくる。世界選手権前、ローザンヌ、パリ、ロンドンで調整レースに出場する予定だ』 国内の人気度はなぜかパウエルのほうがボルトより上だ。ボルトは意外なほど外国遠征で見せるひょうきんなおどけたゼスチャーもなく、終始生優等生的な態度だった。 一方、女子スプリンターは過激な争いだ。 北京五輪100mの覇者、シェリー−アン・フレイザー、五輪2位のケロン・スチュワート、シェリー−アン・ブルックス、アリーン・ベイリーらのメンバーだった。4月に盲腸を摘出、足の故障上がりだったが、ここに来て順調に調子が上向きになったフレイザーが、向かい風1.5mの中で10秒88の今季世界最高記録でスチュワートを破って圧勝。健在振りを世界に見せ付けた快走ぶりだった。 フレイザーは、「今年は故障ばかりでついていなかったが、大事なレースに復帰できたことはすべてコーチのおかげ。世界選手権まで、すべてコーチに任せて調整、優勝メダルをジャマイカに持ってきたい」と、笑顔だった。 女子200mは、五輪100,200m優勝者が顔をそろえた決勝のみの1本勝負。インコースから飛び出したフレイザーだが、残り20mでレース巧者のベテランスプリンター、ヴェロニカ・キャンベル−ブラウンが、22秒40の今季世界最高記録で優勝、2位のフレイザーは22秒50だった。 このほか男子400mh、女子400m,400mh、女子三段跳びらの種目に、好記録、北京メダリストらが活躍した。 余談になるが、外国人取材者のみ前代未聞の取材許可証に10ドル取られ、インフィールド撮影許可は、現地のカメラマンを含む、誰も取材許可が下りない。プログラム変更が頻繁に起こるなど、なかなか取材が難しかった。 |
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