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ケニア勢エチオピア勢に圧勝、トラック2冠制す

小柄なヴィヴィアン・チェルイヨット(ケニア、26歳)、長身のリネット・チェプクエモイ・マサイ(ケニア、20歳)らの2人が、堅固なエチオピア勢の壁を突き破って女子5000,10000mで優勝した。

果たして、これがエチオピア勢の世界長距離界独占の終焉になるだろうか。

大会初日、女子10000mの優勝は、当然のごとくエチオピア、ケニア勢の首位争いだった。この種目はエチオピア勢の6連覇が掛かかっていた。3連覇が掛かったティルネシ・ディババ(エチオピア、25歳)が大会直前に故障で欠場したのは淋しいが、今季急成長したメセレッチ・メルカム(24歳)、今季からこの種目に出場するメサレット・ディファー(26歳)、ウデ・アヤレウ(21歳)らの強力トリオだ。一方、ケニア勢は今季急成長したマサイ、グレース・クワンボカ・モマニ(28歳)、フローレンス・ジャベット・キプラガト(21歳)が迎え撃った。

マサイは、「エチオピア選手の最後のキックを警戒して、早い段階で引き離しを掛けたが成功しなかった」と、エチオピアの手の内を熟知している。

残り200m、得意のキックでディファーが仕掛けたがゴールまで持たなかった。メルカムは内側ゴールを攻め、一瞬ながら勝ったと思って諸手を上げたが、マサイが外側から猛烈にゴールに飛び込んで0.10の差で逆転優勝。

優勝したマサイは、「勝ったなんて信じられない!優勝は夢のようだ!エチオピア勢と最後まで争ってギブアップしなかったのが勝因だ。エチオピア勢に勝つため、後半のチームワークが効果的だったと思う」と興奮気味して話した。ちなみに、兄も同じ種目で3位だった。

ゴール手前で一瞬だが気を緩めたメルカムは、「こんな大失態、優勝を逃したことは大きい!ケニア選手が外から追い上げたことに気がつかなかった」と嘆いていた。

5000m決勝もほぼ同じようなレース展開だった。大阪で2位のヴィヴィアン・チェルイヨット(ケニア、26歳)は、国際試合で勝つことは稀で、繰り返しエチオピア勢の後塵を被ってきた。

例によって最終回でディファーがロングスパートを掛けたが、チェルイヨット、キベットのケニア勢がゴール手前で逆転1,2位。ディファーを3位に蹴落とした。

チェルイヨットは、「前回2位より成長して優勝。10000mで優勝したマサイの効果が大きかった。ディファーを破る自信を与えてくれた」と大喜びだった。一方、3位のディファーは、「優勝すると思ったが・・・、勝てなかった」と、ガックリ肩を落とした。

 
(09年月刊陸上競技10月号掲載)
(望月次朗)

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