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新設ダイヤモンドリーグ開幕、ドーハ、上海戦から


今季、国際陸連が世界的な拡大を目指して新しいプロジェクトを開始した。国際陸連も世界的な不況の影響をまともに受け、合理化を余儀なくされ、長期的展望から陸上競技大会のコンパクトな運営、商業化(TV番組化)を進め、なおかつ、世界的な普及を目指した世界最高峰14シリーズ、「ダイヤモンドリーグ」(以下DLと略す)を新設した。これまで「ゴールデンリーグ」と呼ばれ、欧州6戦で開催されてきた。新設のDL初戦を5月14日ドーハ、2戦目の5月23日上海で取材した。最終戦を8月27日ブリュッセルと連戦。賞金総額は600万ドルを超え、種目別優勝者に4カラットダイヤモンドを与える。各大会の優勝金額は$10000、2位$6000、3位$4000など以下8位まで賞金を受ける。もちろん、公表されていないが各選手の出場料が加わる。一説によると、メガスターのウサイン・ボルト(ジャマイカ、23歳)は1レースに付き出場料が20万ドルを下らないとか。尚、ダイヤモンドリーグの詳細は、国際陸連サイトhttp://www.iaaf.org/ の「Diamond League」を参照のこと。





アサファ・パウエル、実力、人気衰えず

新設の世界最高競技会シリーズ初戦は、カタール首都ドーハ。ドーハでは男女15種目を完全にTV放映するため2時間に圧縮しコンパクトにまとめた。このため撮影は、時間がなくすべてワンチャンス。

北京五輪、昨年の世界選手権で100,200m、4x100mの3冠を世界新記録で優勝した、今や陸上競技会を超えた「メガスター」のウサイン・ボルト(ジャマイカ、24歳)は出場していないが、シャイで物静かな元100m世界記録保持者のアサファ・パウエル(ジャマイカ、28歳)が、追い風2.6mながら予選でいきなり9秒75を出し、観衆がどよめいた。決勝は追い風2.3メートルで参考記録ながら9秒81で優勝。2位にパウエルの練習パートナー、ネスタ・カーター(ジャマイカ、25歳)が9秒88で入り、以下5位まで9秒台だった。

蒸し暑い中東の気候は、むしろパウエルらジャマイカ選手にとって最適なコンディション。黒いサングラスを掛け、眠気眼で出席した記者会見で、「調子はイイ」と好記録を公言。軽く走ったような印象だったが予選で早くも9秒75.今季の活躍を予言するような快足ぶりだった。「ピストル音のタイミングにずれがあった。スタートで遅れたが後半の走りは良かった」。男子100m決勝で追い風参考ながら、これまでのボルトの今季世界最高記録9秒83を破る9秒81の好タイムで圧勝。シーズンが始まったばかりの初戦、後半に期待したい。男子800mのデイヴィッド・ルディシャ(ケニア、24歳)が、積極的なレース展開で1分43秒00を記録。今季世界最高、大会新記録で優勝。「今季の目標は、コンスタントに高い記録を残し、アフリカ選手権優勝と自己新記録を大幅に更新したい。カキとオスローで対決するのが楽しみだ」と抱負を述べた。男子400mhでバーショーン・ジャクソン(アメリカ,27歳)が好調で、2位のケロン・クレメント(アメリカ、25歳)を最後の30mで抜き去って48秒56で優勝。2位はクレメントの48秒82だった。男子3000m障害でエゼキール・ケンボイ(ケニア、28歳)が8分06秒28の今季世界最高記録で優勝。「目標の7分55秒前後で走れると思ったが・・・」と結果に不満。キューバの三段跳びトリオが上位を独占。優勝はアレックキシ・コぺロ(キューバ、25歳)の17.47m。男子砲丸投げでクリスチャン・カントウェル(アメリカ、30歳)が最後の4投目に21・82mを投げて優勝。「今期の目標はDL総合優勝と自己新記録の更新だ」。女子400mでアリソン・フェリックス(アメリカ、25歳)が50秒15で圧勝した。

上海DL,地元の英雄、劉翔の完全復帰ならず

男子200mでウサイン・ボルト(ジャマイカ、24歳)が、小雨の中19秒76で圧勝。「少し寒いぐらいだった」とあっさり。高平が出場したが21秒12で7位。男子110mhはデイヴィッド・オリヴァー(アメリカ、28歳)が12秒99で圧勝。劉翔は、「まだ、全力で練習はできない状態。現状では13秒40は悪くはない」と結果に満足な表情だった。男子やり投げでアンドレアス・トルキルドセン(ノルウェー、28歳)が86.11mを3投目に投げて優勝。男子円盤投げは世界トップ選手が揃った。今季絶好調のゾルタン・コファゴ(ハンガリー、31歳)が、6投目に69・69mを投げて優勝。男子棒高跳びでスティーヴン・フーカー(オーストラリア、28歳)が、5.40m以上を跳べずに6位の大番狂わせ。優勝はマルテ・モール(ドイツ、24歳)の5.70m。女子100mはジェター・カメリタ(アメリカ、31歳)がシェリ-アン・フレイザー(ジャマイカ、24歳)と争い11秒09で制す。女子800mはジャネット・ジェコスゲイ(ケニア、27歳)が2分01秒06で優勝。今季復帰に期待されたパメラ・ジェリモ(ケニア、21歳)は2分03秒89で8位に終わった。女子5000mでメサレット・ディファー(エチオピア)の練習パートナーのセンタイェフ・エジグ(25歳)が今季世界最高、大会新記録の14分30秒96で10000m世界チャンプのリネット・マサイ(ケニア、21歳)を下して優勝。女子400mhでラシンダ・デミュス(アメリカ、27歳)が53秒34の今季世界最高、大会新記録で優勝。

 
(10年月刊陸上競技7月号掲載)
(望月次朗)

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