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IAAFダイヤモンドリーグ2017
第2戦 上海5/13(中国)

桐生 まさかのフライングで失格!!
9秒台≠ヨの気負いか


ケンブリッジ 10秒19で4位
サニブラウンは10秒22で5位

 

 これまでDL取材でほとんど見かけなかった日本のメディアが、上海大会に大挙してやって来た。テレビ、新聞などのスタッフがずらり。春先から好調が伝えられた桐生祥秀(東洋大)、プロになったケンブリッジ飛鳥(Nike)、9月に米国・フロリダ大へ入学することが決まっている城西高卒のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東京陸協)の3人が出場するからだ。
 今大会の男子100mはDLポイント対象外レースのため勢いのある一流スプリンターは不在で、米国の中堅である32歳のマイク・ロジャース(米国、自己記録9秒86)、昨年9秒93の自己新を出している41歳のキム・コリンズ(セントキッツ)、リオ五輪6位の実績がある31歳のメイテ・ベン・ユセフ(コートジボワール、自己記録9秒96)らベテラン勢や、2015年にアジア生まれの選手で初の9秒台(9秒99)スプリンターになった地元・中国期待の蘇炳添(27歳)らが出場。正直言って、この出場メンバーなら、蘇炳添や、待望の9秒台突入が期待される日本選手にも勝つチャンスは十分あると思っていた。
 ところが、今季10秒0台を3大会続けてマークするなど日本勢で最も注目されていた桐生が、フライングを犯して自身初の失格処分を受けて退場となる、まさかの事態。最初は8レーンのアイシア・ヤング(米国、自己記録9秒99)が失格となり、仕切り直しレースで再びリコールピストルが鳴ると、7レーンの桐生にレッドカードが示された。
 抜群のスタートを切ったように見えた桐生は「どうして?」といったジェスチャーで抗議したが、生理学的データからピストルが鳴って0秒10未満で動けば不正スタートになるルールで、今回の桐生の反応は違反値の「0秒084」。9秒台突入のチャンスを自ら潰した。
 たくさんの記者が待ち構えていたミックスゾーンに来るなり「やっちゃいました」と言って苦笑いした桐生は、「調子は良かったので、それを発揮できずに悔しいですね。(タイミングは)ぴったりだと思ったのですが、この悔しさを次のレースにぶつけます」と話した。
 他の選手によると、2回目のスタートは「セット」の合図からピストルが鳴るまでのタイミングがやや長かったように感じたそうだが、それも勝負のうち。
 結局、3度目のスタートでうまく飛び出した蘇炳添が、10秒09(+0.1)でロジャースらを抑えて優勝。アジアナンバーワンの実力を見せつけた。
 10秒19で4位だったケンブリッジは「調子は良かったが、後半の走りがいまひとつだった」と反省。自己2番目タイの10秒22で5位に続いた18歳のサニブラウンは「相次ぐフライングで完全に乱されました。前半は良かったのですが、後半伸びなかった」と話したものの、結果には満足げだった。

五輪王者が相次ぐ惨敗
走幅跳のマニョンガ DL新8m61

 今大会の男子は波乱が相次ぎ、リオ五輪金メダリスト7人のうち110mハードルのオマー・マクレオド(ジャマイカ)が13秒09(+0.5)で優勝したのみで、他の大物選手はま
だ調子が上がっていない。
 800mの世界記録保持者で五輪2連覇のデヴィッド・ルディシャ(ケニア)は、前半首位に立って引っ張ったものの、後半ずるずる後退して4位。400mハードルのカーロン・クレメント(米国)は大きく遅れて4位。ベテランのバーショーン・ジャクソン(米国)が大会新記録の48秒63で優勝。走高跳のデレック・ドルーイン(カナダ)は記録なしに終わった。優勝は2m33を跳んだムタズ・エッサ・バルシム(カタール)で、初戦のドーハに続いてDL2連勝。
 棒高跳のティアゴ・ブラズ・ダ・シルバ(ブラジル)は5m60で4位。好調のサム・ケンドリックス(米国)が5m88を2回目に成功して優勝し、世界記録保持者のルノー・ラヴィレニ(フランス)は5m83で2位。
 走幅跳のジェフ・ヘンダーソン(米国)は6位に沈み、8m65を筆頭に今季8m60台を連発しているリオ五輪2位のルヴォ・マニョンガ(南アフリカ)が6回目に8m61(+0.7)をマークして圧勝。これは2010年から始まったダイヤモンドリーグの過去最高記録だ。また、地元中国トリオが8m台を軽々跳んで2、3、4位に食い込む。
 リオ五輪円盤投で劇的な優勝を飾ったクリストフ・ハーティング(ドイツ)は5位。女子円盤投に出場した新婚のジュリア・ハーティング(旧姓フィッシャー)は7位だった。今大会の円盤投は男女一緒に実施されたため待ち時間が長く、その間に男子選手らがトランプを始めていた。
 男子種目はなかなかパッとしなかったものの、200mで19歳のノア・ライルズ(米国)が自己新、今季世界最高タイ(当時)の19秒90(−0.4)をマークし、20秒27で2位だった30歳のラショーン・メリット(米国)を大差で下して注目を浴びた。昨年は全米五輪トライアルで20秒09の自己ベストを出しながら惜しくも4位にとどまり、五輪代表入りにはあと一歩及ばなかったが、U20世界選手権で100mに優勝したライルズ。7月で20歳になる今季は、ロンドン世界選手権を確かな目標として定めている。

女子は今季世界最高が続出
 男子勢とは逆に女子はリオ五輪優勝者が大活躍。
100mのエライン・トンプソン(ジャマイカ)が10秒78、新婚の400mショーナ・ミラー・ウイボ(バハマ)が49秒77、1500mのフェイス・キピエゴン(ケニア)が3分59秒22、5000mでリオ五輪2位のヘレン・オビリ(ケニア)は14分22秒47(世界歴代6位)の、それぞれ今季世界最高で優勝した。

また、クロアチア国会議員でもある円盤投のサンドラ・ペルコヴィチは66m94で競り勝った。


 

 

 
(月刊陸上競技2017年7月号掲載)
● Photos/Jiro Mochizuki (Agence SHOT)

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