レーラー
93m90!!
初戦のドーハで早くもビッグレコード誕生
男子やり投
世界歴代2位、今世紀最高の快投
IAAF ダイヤモンドリーグ(DL)は5月5日、今年も全14
戦シリーズの初戦がカタールのドーハで開催され、男子やり投でいきなりビッグレコードが誕生。リオ五輪王者のトーマス・レーラー(ドイツ)が世界歴代2位となる93m90
の大アーチを描いて圧勝した。このほか男子走高跳で地元カタールのムタズ・エッサ・バルシムが2m36
に成功するなど、計6種目で今季世界最高記録が生まれた。
これが五輪金メダリストの底力か―。25歳のレーラーは3投目まで88m12で2位につけていたが、4投目に本領発揮。192cm、92kgの大きな身体からしなやかな振り切りで放たれたやりは90mラインを大きく超え、観衆の度肝を抜いた。
レーラー自身も昨年6月にマークしている自己ベスト(91m28=当時・世界歴代11位)を上回ったことはすぐにわかったが、しばらくたって「93m90」の正式記録が表示されると右手を突き上げて大喜び。
この種目でけた違いの実力を誇ったヤン・ゼレズニー(チェコ)の世界記録(98m48)に次ぐ歴代2位へ一気に浮上し、歴代パフォーマンスでは6番目ながら、2000年以降では最高となる価値ある投てきに、「いい記録が出た手応えはあったが、まさか93mまで飛んでいたとは……。シーズン初戦でこんな記録を出せてしまったことが信じられない。何日か経てばこの記録の意味がわかってくるだろうが、今は実感がない」とコメント。投げた本人が最も驚いている様子だった。
リオ五輪4位の実績を持つ同じドイツの24歳の若手、ヨハネス・フェッターが自己ベストの89m68で2位に続き、3位のヤクボ・ヴァドレイフ(チェコ)も87m91をマークするなどシーズン序盤とは思えないハイレベルの投げ合いで、07年大阪世界選手権を制している34歳のテロ・ピトカマキ(フィンランド)が84m26で4位、北京世界選手権王者でリオ五輪銀のジュリアス・イェゴ(ケニア)が81m94で7位。日本の新井涼平(スズキ浜松AC)は74m68で9位に終わった。
この種目のDL次戦は6月8日のローマ(イタリア)だが、レーラーはその前に5月21日のゴールデンGP川崎(IAAFワールドチャレンジ)に出場予定。今世紀最高≠フやり投選手が、日本でどんなパフォーマンスを見せるか楽しみだ。