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2017世界陸上ロンドン大会
男子5000m

エチオピア復権
23歳エドリスが34歳ファラーを下す

 

 5年前のロンドン五輪以降、世界大会(五輪2、世界選手権2)で男子長距離2冠に輝き続けてきたモハメド・ファラー(英国)。34歳の彼にとって、今回の世界選手権がトラックで出場する最後の大舞台であり、大会初日の10000mでは見事に勝って11年テグ世界選手権以来のビッグゲーム5連覇を達成し、6万人の大観衆を沸かせた。だが、2冠を目指した9日目の5000m決勝では、23歳のムクター・エドリス(エチオピア)にスプリント勝負で敗れ、有終の美を飾れなかった。タイムは優勝したエドリスが13分32秒79、2位のファラーは13分33秒22。その差0秒43で明暗を分けた。
2012年の世界ジュニア選手権(現・U20世界選手権)を18歳で制しているエドリスは数々の金字塔を打ち立てた長距離界の皇帝、ハイレ・ゲブレセラシェ、ケネニサ・ベケレの後継者として期待されてきたが、無敵を誇ったファラーを最後の直線で外側からまくって初優勝。やっとエチオピアが長距離王国≠フ面目を保った。


 エドリスは「準備はできていたのでモー(ファラー)には勝てると思っていた。モーは10000mの疲れが残っていたので、得意のロングスプリントが持たなかったのかもしれない。ここはモーの地元なので私を応援してくれる人はあまりいなかったが、ついに勝つことができた」と声を弾ませ、ファラーのお馴染みのモーポーズ=i頭の上に両手を乗せてMの文字をつくる)を真似てやった理由を「モーに対する尊敬の念から」だと説明した。


一方、久しぶりに敗戦を味わったファラーは、「最後のカーブを曲がってからポジジョン取りが悪く、ポケットされて前に出られなかった」と言って残念がったが、「それは敗戦の理由にならない。世界選手権4連覇を阻止されたのは悔しいが、どのレースも強い者が勝つということ。エドリスは優勝に値する立派な選手だ」と11歳も若い新王者に敬意を表した。


 多くのファンに愛され、親しまれているファラー。「トラックを走るのは今後のバーミンガムとチューリヒのDL2大会が本当の最後になるが、長いキャリアの中で、トラックでやり残したことはない」と断言し、これから専念するロード、マラソンでは「世界に挑戦したい」ときっぱり。
 2014年4月にロンドンで経験した初マラソンは、2時間8分21秒で8位。準備不足にしても期待外れの印象は拭えなかったのだが、じっくり腰を据えて臨む次のマラソンでどんな走りをするのか興味は尽きな
い。


 

 

 
 (月刊陸上競技2017年10月号掲載)
● Photos/Jiro Mochizuki (Agence SHOT)

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