■第3戦ストックホルム(5/30 スウェーデン)
極寒の中で地元勢が2種目制覇
モントラー8m22、ストール69m57
試合中に降り始めた小雨は幸いにもすぐに止んだが、風は吹き止むことがなく、気温は11〜12度。体感では10度を割るような寒さだった。選手、観衆はもちろん、1912年の五輪の舞台となったストックホルム・オリンピック・スタジアムのすべてが凍えた。過去10年のDLの中で、最悪と言えるコンディションを経験した。しかし、その中でも、新世代の素晴らしいパフォーマンスが続出した。
男子400mではDLに初参戦となった日系のマイケル・ノーマン(米国)が、練習パートナーで400mハードル専門のライ・ベンジャミン(ニューヨーク生まれのアンティグア・バーブーダ国籍だったが、アメリカ国籍を取得)と一緒に出場。前半の強い向かい風をものともせず、44秒53で完勝。「今季最初のDLで、初めて出場した400mに勝って、まずまずだよ」と雰囲気を楽しんだ。
最近のDLでは見られない男子10000mが、大会10周年記念で実施。ほとんどの観衆が去った夜10時にスタートした。ハゴス・ゲブルヒウェト(エチオピア)が最初の5000mを13分28秒7で通過。背後には長距離界の未来のスター≠ニ呼ばれる20歳のローネックス・キプルト(ケニア)が続く。後半、キプルトが先頭に立ってペースアップすると、ゲブルヒウェトが徐々に離れていった。キプルトは自己新、今季世界最高の26分50秒16でV。「予想以上の記録でとてもうれしい。世界選手権出場種目はまだ決めていないので、帰国したら5000mも練習する」と笑顔を見せた。
男子400mハードルは、2017年ロンドン世界選手権覇者のカールステン・ワルホルム(ノルウェー)がスタートからアグレッシブに飛び出し、47秒85で圧勝。男子走幅跳は今季好調、地元期待のトヴィアス・ニルソン・モントラー(スウェーデン)が、2回目に8m22(+1.5)の自己新をジャンプ。世界新記録を期待された20歳のファン・ミゲル・エチェバリア(キューバ)を退けて優勝。エチェバリアは助走の不安定さから6回目に8m12(+2.3)を跳んで2位を確保するのが精一杯だった。
男子円盤投でも、地元の豪傑が本領を発揮。今シーズン絶好調のダニエル・ストールが大声援に応え、2投目に69m57を放って快勝。それでも、「ちょっと力んで向かい風に向かって投げるのに失敗した」と70mに届かなかったことを残念がった。
女子200mで昨年の欧州選手権覇者のディナ・アッシャー・スミス(英国)が22秒18(+1.3)の今季世界最高記録で優勝。同5000mではアグネス・ティロプ(ケニア)が、今季最高の14分50秒82で制した。前半の接触で転倒したロンドン世界選手権女王のヘレン・オビリ(同)は12位に終わった。