ライルズ 9秒86の自己新V
最終種目の男子100mの21歳のノア・ライルズと23歳のクリスチャン・コールマンの米国を代表する若きスプリンター対決が圧巻だった。抜群のスタートからコールマンが大きくリード、ライルズは完全に遅れ、懸命にコールマンを追うが2m近くの差を詰め切れない。しかし、90mを過ぎてからなぜか急激にコールマンがスピードダウン。逆にライルズが爆発的な加速で追い上げ、フィニッシュライン上でほぼ並んだかに見えた。電光掲示板に結果が出た瞬間、ライルズが吠えた。同タイム着差ありの9秒86(+0.9)
で、ライルズは自己記録を100分の2を短縮。驚異的な後半の加速で、今季初のDLを今季世界最高記録で飾った。「レース前から今日はオレの日だ!」とコーチに宣言。
しかし、「スタートは最悪だったが、後半の加速は文句なしだった。コールマンに勝って、自己新記録でDL初戦に優勝したのは自信になる。スタートが良くなれば、記録はこれからまだまだ縮められる」と歓喜。ちなみにライルズのタイムは9秒852、コールマ
ンは9秒858の僅差だった。無言のまま控室に消えたコールマンとは対照的に、ライルズは次々とジェスチャーを繰り出して喜びを表わした。
男子400mハードルも期待に違わず好勝負が展開された。世界歴代2位の46秒98を
持つ4レーンのアブデラーマン・サンバ(カタール)が、同3位タイの47秒02を持つ5レーンのライ・ベンジャミン(米国)を追う。冷静に前半を走ったサンバが、最終ハードルでベンジャミンを逆転。今季世界最高、大会新の47秒27で優勝。2位のベンジャミンは粗いハードリングにもかかわらず47秒80だった。安部孝駿(ヤマダ電機)は50
秒27で6位だった。
男子5000mでヨミフ・ケジェルチャ(エ チオピア)が、同胞のライバル、セレモン・
バレガ、ハゴス・ゲブルヒウェトらを破り、今季世界最高の13分04秒16で制す。上位にエチオピア勢が占めた。
女子では、100mではアレイア・ホッブスソン(ジャマイカ)らを抑え、11秒03(+0.2)
で優勝。3000m障害は世界記録保持者のベアトリス・チェプコエチ(ケニア)が9分04秒53(今季世界最高記録)で貫録の圧勝。
「この種目で今季初のDLで、この記録は非常に良い。これからのレースに期待したい」
と自信を見せた。棒高跳で、およそ考えられるすべてのタイトルを獲得したカテリナ・
ステファニディ(ギリシャ)が4m72を一発でクリアして優勝。「まだまだシーズンが始まったばかり。世界選手権制覇、DL年
間優勝を目指す」と笑顔だった。フィールド種目では、地元勢が活躍。棒高跳の李玲が自己の持つアジア記録4m70を2cm更新して2位。やり投では、4月のアジア選手権覇者の呂會會(中国)が2投目に大会新の66m89をマークして優勝した。