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コートジボアール代表
内戦をものとせず、初出場のコートジボアールの実力は?

コートジボアールはアフリカ選手権大会の常連出場国だが、92年セネガル大会で唯一優勝した以外、後にも先にもこれといった輝かしい戦歴はない。このチームにも外国のトップクラブ所属の選手も少なかった。定評あるチーム力、小柄で高いテクニックを持った選手が細かくつなぐプレーが本領だった。

コートジボアールは2年前、アフリカ選手権に予選落ちして不参加。2年後のWC初出場を目標に、アフリカでは珍しい長期的な展望でチーム再編成に着手してきたと言う。

ベテラン選手と若手の成長が著しく、コートジボアール代表がこれまでに経験したことがない、史上最高の豊富な質と量で「黄金時代」を迎えつつある。

ベッケンバウアーが「コートジボアールは、ポテンシャルの高いチームだ。前大会のセネガル以上に活躍を期待できる」と、高い評価を下している。これまでのコートジボアール代表と大きく違い、身体的に恵まれたDF選手はもとより、全体的に大型化したのが特徴だ。チーム大半の80年代生まれの選手に逸材が多く、アフリカ選手権出場23名全員が、ほかのチームが羨む欧州トップクラブ在籍の選手で占められている。

プレミアリーグのスーパースター、ディディエ・ドログバは、予選9戦9得点を叩き出した。

かれの存在、活躍のインパクトは計り知れない。国内から数万人のフランス人が避難、南北分裂、宗教対立、重なる政変で、緊迫した予断を許さない一触即発の内戦状態が続いている。少なくとも代表試合中、総ての国内問題を超越した気休めな、一時的な平和が訪れる。選考された選手の半分以上は南出身者だが、アフリカでは珍しい政治、宗教、金銭的な問題に無関係なのがいい。ドログバは平和のシンボル的な存在でもある。

アンリ・ミッシェル監督は、カイロで開催されたアフリカ選手権予選リーグ3戦で、4−4−2システムの布陣で次々と選手テストを繰り返した。この段階では、中心選手以外はまだまだ固定されていない。

GKはティジェ、センターバックのドモロー、ボカ、MFにヤピヤポ、ゾコラ、カルー、FWのドロクバラは不動のポジションだろうが、選手の実力はいずれも伯仲している。選手間で熾烈なポジション争いによって、さらに高いレベルアップを図っている。監督は選手の調子を見て使い分けてくるだろう。WC大会予選でカメルーンに2敗。ドロクバらの攻撃力ばかりに注目されているが、他の試合では7勝1分けと取りこぼしのない堅実な守備が光る。中盤からの攻撃の要は、カルー、ヤピヤポからFWのドログバ、ダンダンまたはコネらの攻撃力は世界のトップクラスだ。得点するたび、面白い「イボリアン」パーフォーマンスが飛び出す。ミッシェル監督は選手として一時代を築いたが、94年大会カメルーンを指揮。対ロシア戦に屈辱的な1−6で大敗。98年大会はモロッコ監督を務めた。ノルウエーがブラジルを2−1で破ったため、運悪く得点差で予選敗退。未だに予選の厚い壁を突破できていない。今回、予選最終戦でカメルーンがエジプトのホームで引き分けて命拾い、本大会出場を決めた幸運があった。コートジボアールの弱点は、選手の質よりも「名選手名監督ならず」、駒の揃った選手を充分使いきれない、ミッシェル監督の手腕を懸念、指摘する人も多い。

初出場のコートジボアールは、本大会でいきなり強豪アルゼンチンと対戦する。さらに、オランダ、セルビア・モンテネグロ、俗に言われる「死の組」と呼ばれる厳しいグループをクジ運悪く選んだ。アビジャンに住むボリは「予選突破のチャンスはあるが、緒戦が総てだ!」と、厳しい表情を見せた。

(06年スポルティーバ3月号掲載)

(望月次朗)

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