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第29回欧州室内選手権大会 三日目

欧州最速、ガードナー、ゲバート連勝

絵に描たようなフィナーレだった。

地元期待の男子60m決勝でジェイソン・ガードナー(31歳)が、スタート一歩から飛び出し諸手を上げてゴール。バレリー・モロゾフ、マリアン・ウォロニンらと並ぶ欧州室内選手権4連勝を果たした。2位にも同僚の若いクライグ・ピッケリング(20歳)、3位は優勝候補のロナルド・ポニヨン(フランス、24歳)だった。

ガードナーは「昨年から故障続きで精神的にきつかったが、自分を失わず、信頼してこの大会に掛けてきた。この優勝は非常に大きな意味を持つ。ホームで1,2位を独占してきたのは、最高のフィーリングだ。」と、大喜びだった。

一方、女子60m決勝は、昨年の屋外欧州選手権大会100,200m2冠のキム・ゲバート(ベルギー、28歳)が、7秒10の今季世界最高記録、ベルギー新記録で優勝。2位はイェブゲニア・ポリャコワ(ロシア、23歳)3位はダリア・オンヤスコ(ポーランド、25歳)。ゲバートは「予選は気楽に走れたが、特に、今回は3連勝がかかったので、決勝は常にナーバスになった。勝ってホッとした。大変に誇りに思います。」と、笑顔で結んだ。

男子800mはアーノルド・オケン(オランダ、25歳)が、やはり1分47秒92の抜群の強さで優勝し、この種目で20年ぶりとなるオランダの優勝選手が誕生した。オケンは「レースはタクティカルになると予想された。転倒などのトラブルを避けるために前に出た。最後の500mぐらいから徐々にスピードアップ。後続との差を広げた作戦が効を奏した。」と語った。

ロシア選手の女子800mの層は厚い。オクサナ・ズブロッゼク(ロシア、29歳)は、国際タイトル初の栄冠を1分59秒23で獲得した。1分55秒82の世界記録保持者、ヨランダ・チェプラック(スロベニア、30歳)は、1年半前足首の手術から立ち直ってきたが、まだ本調子ではない。ズブロッゼクは300m残してロングスパートを掛けて逃げ切った。

男子1500m決勝は、優勝ホアン・カルロス(28歳)、2位セルジオ・ガチャルド(27歳)、3位アルツーロ・カサド(24歳)とスペイン勢が上位独占。カルロスは屋外欧州選手権1500,5000mの両種目で3位。初の大きなタイトル獲得で感極まったウイニングランだった。

男子走り幅跳びで好記録が飛び出た。それまで3位につけていたアンドリュー・ホウィー(イタリア、21歳)が、5回目の跳躍で8.30mを跳んで圧勝。「ほとんどこの大会の準備はしてこなかった。脚があわなくて苦労したが、5回目に足があったら予想以上の記録が飛び出た。屋外シーズン開幕が待ちどうしい。今年は大阪で優勝を狙う。」

大会1週間前のヨテボリ室内で、スウェーデンの走り高跳びコンビ、ステファン・ホルム(30歳)とリヌス・トーンバルド(21歳)の激戦が伝えられた。しかし、ホルムが2.34mで優勝、トーンバルドがまたしても2.32mを跳んで2位。期待されたほどの記録が出なかった。

女子3000m優勝者リディア・チョイェクカは、初日の1500m優勝に続き大会初の2種目制覇を圧倒的な強さで成し遂げた。彼女とはモロッコのイフレンという高地で会った事がある。優勝の喜びをこう語った。「ジョ・ペイビーが早いペースで先行してくれたので助かった。まさか2種目制覇できるとは予想もしなかった。こんな嬉しい週末はない」

女子砲丸投げでアスンタ・ラガナンテ(29歳)が3投目に18・92mを投げて東欧勢の追い上げを退け、イタリア初のこの種目での優勝。

女子三段跳びはカロッタ・カストレヤナ(スペイン、34歳)が今季世界最高、スペインナショナル新記録14.64mを跳んで優勝。

女子棒高跳びは、イェレナ・イシンバエワが不在だったが、ロシアの新旧コンビ、スヴェトラナ・フェオファノワ(26歳)が4.76mを跳んで優勝。2位にユリヤ・ゴルブチコワ(23歳)が4.71mを跳んだ。フェオファノワは「4.71mで2回失敗したので、優勝するには4.76mを跳ばなければ勝てなかった。その賭けが当たった。イシンバエワが不在だったが、わたしの競技には影響がなかった」

7種目では五輪優勝者のロマン・シェブロ(チェコ、32歳)が、アレクサンドラ・ポゴレォワ(ロシア、27歳)と激戦。最終的に6196ポイントを獲得して優勝。昨年ジュニア世界選手権10種目優勝者のアンドレイ・クラウチャンカ(ベラルシ、21歳)が3位に入る健闘を見せた。シェブロは6週間前、南アで練習中、女子の投げた槍が身体をかろうじて掠めて命拾いしたエピソードがあったものの、大阪、北京五輪まで競技を続行するとか。 

室内競技に事故はつきものだ。初日に女子800m予選で先頭を走っていた英国選手が転倒足の骨折事故。最終種目、男子4x400mでドイツ2走選手がロシア選手を妨害したとして、優勝が無効になった。が、地元勢の活躍、女子種目で今季世界最高記録が続出して、目の肥えた観客の熱い声援もあり楽しい大会だった。

 
(望月次朗)

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