史上最強トラックランナー、ケネニサ・ベケレ
今季の抱負、ビジネスを語る
史上最強長距離選手のケネニサ・ベケレ(エチオピア、27歳)は、練習後工事現場の指揮者に早変わりする。エチオピアの首都アディス・アベバの中心部から車で約20分。北西にあるアディス市内を見下ろす峠を越えた向こうにスルタと呼ばれる平坦な土地がある。ここの空気は首都の汚染された大気とは比較にならないほど新鮮だ。ケネニサ・ベケレは昨年11月、スルタの広大な土地に、10億円投資計画で「ベケレ・スポーツセンター」を着工した。道路の反対側は広大なユーカリ森林。ここはエチオピア選手が好んで走る、天然芝クロカンに最適な練習場になっている。選手は直射日光を避け、木々をぬいながら柔らかい不整地を走る。これは足腰の強化に最適、しかも身体に優しい。朝の7時前から大勢の選手らが森の中で走っている。世界のトップ選手からジョガーまで多くのランナーたちに出会う。 昨年のNYマラソンで36歳になって驚異的な復活を見せたデラルス・ツル、男のパートナーと一緒だったメサレット・ディファー、ゲレテ・ブルカ、ティルネシュ・ディババの3姉妹、夫のシレシ・シヒネらは家族で走っていた。銀行、警察グループ、ハイレらは10人前後のグループ、福岡マラソン2連勝のツエガイ・ケベデ(21歳)らは30人ぐらいの大所帯の先頭に立って走るのが見えた。ケネニサは北京五輪5000mで5位の弟のタリク(22歳)、同じく北京五輪5000mで4位のアブレハム・チェルコス(20歳)らを同行しての練習だった。 史上最強クロカン、トラックランナーの呼び声高いベケレベケレは、08年11月16日オランダで開催された15kmロードレースに出場したが、途中で疲労骨折を起こした。このため09年の室内レース、世界クロカンを欠場。シーズン前半のGLは苦戦を強いられたが、北京五輪に続く史上初の世界選手権大会5000,10000mの2冠を達成。10000m4連覇はハイレに並んだ。また、09年GL6戦全勝。06年以来2度目のジャックポットを果たした。5000mは06年7月28日、ロンドンGPでバーナード・ラガットに負けて以来の無敗。10000mは03年6月1日、ヘンゲロGPで初め出場。ハイレ、メズゲブらの並いるベテラン選手との初対決で優勝。それ以来無敗記録を続けている。 エチオピアは自他共に認める世界の長距離、マラソン王国である。この国の長距離の開祖は、言うまでもなく「裸足の王様」ことローマ、東京五輪マラソン2連覇したビキラ・アベベだ。アベベの後継者は、メキシコ五輪マラソン優勝、ミュンヘン五輪マラソン3位のウォルデ・マモ。かれは40歳過ぎまで活躍した。モスクワ五輪5000,10000m2冠のミルーツ・イフターは、最終ラップでの爆発的なスピードで他を全く寄せ付けなかった。エチオピア伝統の最終ラップからの劇的な「スパート」の元祖は、イフターだ。五輪活躍のチャンスがなかったベライネ・ディンサモは、88年ロッテルダムで2時間6分50秒の驚異的な世界新記録を樹立。98年ロナルド・ダ・コスタ(ブラジル)が2時間6分05秒の世界新記録を叩き出すまで10年間以上世界記録として君臨した。ハイレ・ゲブレセラシエは、91年ジュニア世界選手権5000,10000mの2種目優勝して頭角を現し、スチュットガルト世界選手権大会で大活躍。長距離界に革命的なスピードを導入。アトランタ、シドニー五輪10000m2連覇、世界選手権10000mを4連覇。現在まで数々のタイトルを獲得、27回の世界新記録を樹立、「皇帝」の異名を持つ36歳の現役ランナーは衰えも見せず、ロンドン五輪マラソン優勝を目指す現マラソン世界記録保持者だ。こうしてほぼ10年ごとエチオピアは「凄い」選手を生んできたが、今世紀に入ってまもなく「皇帝」を凌ぐ「怪物」選手が出現した。 ベケレは先駆者のハイレの世界記録5000,10000mをいとも簡単に更新。史上3人目の五輪5000,10000m2冠、世界選手権史上初の5000,10000m2冠、ハイレと並ぶ世界選手権10000m4連勝を達成。中でも圧巻なのは、ハイレが一度も優勝を成し遂げることができなかった世界クロカン優勝数が22回(ショート、ロング・コースで連続5回優勝、団体などを含む)と断トツ不滅の金字塔は史上最強長距離選手の呼び声が高い。 数度の朝練に同行取材、かれの自宅で行ったインタビューを下記のようにまとめた。 世界選手権史上初の2冠達成―08年、15kmロードレースで疲労骨折を起こして回復が長引いて室内、クロカンを棄権したが…故障の影響は?
―昨年シーズンの結果に満足していますか。 ―2度目のジャックポット獲得の印象は。
―IAAF選考の最優秀選手はボルトと争って2位になったが・・・。
―だれかが言っている「800mでベケレとボルト対決を!」の話を知っていますか。
―練習はいつも弟のタリク(北京五輪5000m5位)とアブレハム・チェルコス(08年ジュニア世界選手権5000mで優勝、北京五輪5000m4位)の3人のメンバーですか。
―昨年、タリクもチェルコスも故障だったが、現状はどうですか。
―史上最強長距離ランナーとの呼び声が高いが…
―市内に完成近いホテルとスルタに巨大なスポーツセンターを建設中ですが、ホテル業、不動産業の副業が忙しい様子ですね。
―ここに外国選手を招聘する予定ですか。
―その他のビジネスは?
―結婚後、大きな変化がみられますか
―オロミエ州政府が率先して、「陸上競技選手育成プラン」を鳴り物入りで立ち上げましたが、どのように考えますか。
―世界室内選手権出場の予定は。
―世界クロカンに出場予定は。
―今季の目標は?
―そのうちの種目で最も可能性が高いのは。
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