オビリ2強対決≠ノ勝利
アヤナの2冠を阻止
大会最終日の女子5000m決勝は、予想通りアルマズ・アヤナ(エチオピア)とヘレン・オビリ(ケニア)の2強対決になった。
脚の故障で今季初戦が世界選手権となったアヤナだが、大会2日目の10000mに30分16秒32で独走Xを果たして復調をアピール。昨年のリオ五輪で23年ぶりの世界新記録(29分17秒45)を樹立した女王の底力を見せつけた。
アヤナは昨年、10000mよりも5000mの世界記録に挑み続け、母国の先輩、ティルネシュ・ディババが09年に樹立している14分11秒15に肉薄する歴代2位の14秒12秒59を記録。そのアヤナが不在だった今季前半はリオ五輪銀メダリストのオビリが主導権を握り、6月上旬のDLローマ大会では歴代5位、ケニア新記録となる14分18秒37をマークした。
今大会の5000mは世界新を視野に入れた両者の対決が注目されたが、レースは残念ながら超スローペースで始まり、見どころは早々に勝負だけに絞られた。アヤナがしびれを切らせて1400m付近から一気にペースを上げると、それに追走したのはオビリのみ。2人のマッチレースは延々と続き、残り300mで初めて前に出てスパートを掛けたオビリに対し、この種目で世界選手権2連覇がかかっていたアヤナは何も抵抗せず、あっさり決着が付いてしまった。
14分34秒86でフィニッシュしたオビリは、27歳にして悲願の世界一。「アヤナがまったく仕掛ける様子がなかったので、自ら仕掛けた。気持ちでは絶対負けない自信があったし、5000mでの金メダルは本当にほしかったもの」と大喜びして話した。
一方、5000mは2位だったリオ五輪に続いて2冠を逃したアヤナは「4月にふくらはぎを故障し、ミュンヘン(ドイツ)に飛んで診察を受けたらかなり重症で、一時は世界選手権の辞退も考えたほど。今回、最後にオリビを追わなかったのは、故障の再発も考慮してのこと」と話し、「まともに走れるようになったのは1ヵ月前からなので、ここで走れて金、銀のメダルを獲得できたのは幸せ」と満足げだった。
アヤナの夫でコーチのソレサ・フィダは「今年は5000mの世界新に向け、シーズン前から意気込みすぎてしまった。最終的に今回は7割の調整ながら10000mに優勝、5000mは2位となって面目を保てた」とホッとした表情で話していた。